話題
中村 裕子さんからの取材リクエスト
淀川沿いの巨大看板、何を実験し続けているの?真実が知りたいので取材をお願いします!
【お答えします】淀川沿いの巨大看板、何を実験し続けているの?
JR京都線の新大阪―大阪間で車窓から見える淀川沿いの巨大看板。いったい誰が、何の目的で、いつまで設置するのか。取材リスクエストにお答えし、記者が現場を歩きました。
話題
淀川沿いの巨大看板、何を実験し続けているの?真実が知りたいので取材をお願いします!
JR京都線の新大阪―大阪間で車窓から見える淀川沿いの巨大看板。いったい誰が、何の目的で、いつまで設置するのか。取材リスクエストにお答えし、記者が現場を歩きました。
私は大阪のJR京都線沿線に住んでいます。JR京都線を使っていていつも思うことがあります。新大阪駅から大阪駅の間にある淀川(だと思うのですが)の川べりで干拓?再生中という看板を何年も見かけます。一体どういう目的で行われているのか?どこの行政が管轄をしているのか?いつから行われているのか?いつになったら終わるのか?が気になりながら、JR京都線を利用しています。真実が知りたいので取材をお願いします! 中村 裕子
JR京都線の新大阪―大阪間で車窓から見える淀川沿いの大きな看板。いったい何?
取材リスクエストにお答えすべく、記者が現場を歩きました。
私は大阪のJR京都線沿線に住んでいます。JR京都線を使っていていつも思うことがあります。新大阪駅から大阪駅の間にある淀川(だと思うのですが)の川べりで干拓?再生中という看板を何年も見かけます。一体どういう目的で行われているのか?どこの行政が管轄をしているのか?いつから行われているのか?いつになったら終わるのか?が気になりながら、JR京都線を利用しています。真実が知りたいので取材をお願いします!
看板の文字は「干潟再生実験中」。場所は、大阪市東淀川区柴島1丁目付近の淀川河川敷で、柴島干潟(くにじまひがた)と言います。
この干潟は、国土交通省の淀川河川事務所が2004年に人工的に作り、管理しています。目的は、消滅した干潟を再生させること。鳥や貝など多様な生物の生息を呼び込んだり、河川のあるべき姿を探ったりしています。
調査を07年までにいったん終えていますが、看板はそのまま残され「実験中」となっています。
柴島干潟に10月のある午後、記者が向かいました。
現場はヨシやススキが腰よりも高く生い茂り、おいそれとは近づけません。肝心の看板も、文字の一部しか見えず、何と書いているのか分からない状況。
そんな「ジャングル」を30分以上さまよいながら、やっと干潟にたどり着きました。以下はその記録動画です。
干潟といえば潮干狩り。そう思って調べると、大阪市が親子イベントを開いていました。
大阪市は今年5月、昨年10月に続いて2回目の「楽しい水辺教室in柴島干潟」を開いています。
市内の子供34人を含む計56人が参加し、潮干狩りや地引き網、干潟・草むらでの生き物探しを楽しんだそうです。
イベント前後で、川のイメージが「きれい」「ややきれい」と答えた子供が63%から96%に改善したそうです。
大阪市は「柴島干潟で多くの生き物やキレイな水に実際触れてもらうことで、イメージアップにつなげるのが一つの狙い」(環境局水環境保全グループの田中邦治係長)としています。
日取りは決まっていませんが、今後も実施を検討するそうです。大阪市内に在住の方は注目のイベントですね!
管理する国土交通省淀川河川事務所の木瀬龍也・河川環境課長にフカボリ取材しました。
Q)なぜ干潟を作ったのですか?
A)かつて淀川の下流は干潟がたくさんありました。それが昭和30年代(1955年代)ごろまでに、高度経済成長期で地下水をたくさん取って地盤は沈下し、河川改修によって干潟の環境は失われました。
潮が引いても干潟になるところが無くなったのです。干潟を人工的に再生してみることで、河川の生物多様性を創出したり、河川のあるべき姿はどういうものなのか探ってみたりしたわけです。
Q)どうやって干潟を作ったのですか?
A)土を取って別の場所に移し、土地を低くして干潟にしました。もともとは、「高水敷」(こうすいじき)と呼ばれる場所です。
高水敷は、台風や大雨で大きな洪水がくると浸水することがありますが、日ごろは水が流れる川より一段高く、河川敷で野球グラウンドや広場として使われています。
川に近い高水敷の一部エリアで10年前、土を削って浅瀬にして干潟を作りました。
Q)実験の結果、どうなったのですか?
A)干潟を作った翌年の2005年~07年に、生物調査をしました。09年3月に開かれた淀川環境委員会で、干潟再生WG(ワーキンググループ)の報告がされています。
Q)かいつまんで説明してもらえますか?
A)生物の多様な生息場としての干潟機能は確認できました。シギ・チドリ類やサギ類など鳥が多く、人工干潟を餌場、休息場として使っていました。
底生動物では、シジミやゴカイ類が数多く生息しています。 ヨシがかなり増えていて、植生としては良好な環境とも。当時の報告内容と、いまの干潟の状況はそう違わないと思います。
Q)看板は「実験中」となっていますが、今も調査は継続しているのですか?
A)今はしていません。干潟は自然に任せた状態で、看板もそのままです。そういう意味では実験中ではないです・・・。
ただ、今すぐに何かやらなくても、仮に洪水があった場合にどうなのか、など検証に使える機会があるかもしれないので・・・・・・。そういう意味ではずっと「実験中」です。
Q)こうした干潟は淀川沿いでは、ここだけなのでしょうか?
A)柴島干潟を作るときに削って出た土を盛って作ったのが海老江干潟。ほかに大淀干潟もあり、計3カ所です。
ただ、ああいった看板で示しているのは柴島干潟だけですね。JR京都線のすぐ近くなので、大きな看板を目印に多くの人に事業を知ってもらおうということだったと思います。
ということで、取材は以上です。
JR京都線に乗ったら、ぜひ淀川を渡る直前に、車窓から看板と干潟を探してみてくださいね。