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ビジネスマンが絶対知っておくべき最高裁判断「マタハラは原則違法」
「たかの友梨」の女性社員が29日、会社側のマタハラがあったとして、損賠請求訴訟を起こしました。マタハラをめぐっては、最高裁が「原則として違法」とする初判断を示したばかりでした。
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「たかの友梨」の女性社員が29日、会社側のマタハラがあったとして、損賠請求訴訟を起こしました。マタハラをめぐっては、最高裁が「原則として違法」とする初判断を示したばかりでした。
妊娠発覚後も長時間勤務を強いられ切迫早産を余儀なくされたとして、エステティックサロン大手「たかの友梨ビューティクリニック」の女性社員が29日、同社側を相手取り、損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。
妊娠や出産による職場での嫌がらせ「マタニティー・ハラスメント(マタハラ)」をめぐっては、最高裁が23日、妊娠・出産を理由にした職場での降格は「原則として違法」とする、初めての判断を示している。
マタハラに苦しめられる女性にとっては画期的な判断となった一方、企業にとっては、女性が子どもを産み育てながら働ける環境づくりの努力をさらに迫られそうだ。
この判断は、広島市の病院で理学療法士として勤めていた女性が、妊娠によって不当に降格させられたとして、職場に慰謝料などを求めた訴訟の上告審判決。
裁判では降格をめぐって、女性の同意の有無が争われた。
第一小法廷(桜井龍子裁判長)は、「女性は不十分な説明を受けただけで、降格を渋々受け入れた」と指摘。同意には当たらないと認定した。
そのうえで、女性の敗訴とした二審判決を破棄。審理は広島高裁に差し戻され、女性が逆転勝訴する可能性が高まった。
マタニティー・ハラスメント(マタハラ)とは、妊娠・出産した女性に対する職場での嫌がらせや不当な待遇を指す、ハラスメント(嫌がらせ)の一種。「セクハラ」「パワハラ」と並ぶ、職場での3大ハラスメントとも言われる。
解雇や契約打ち切りだけでなく、暴言や嫌がらせの言葉で自主退職に追い込むケースもあり、流産や切迫流産につながるおそれも指摘されている。
男女雇用機会均等法では、妊娠中の女性に対し、会社は時短勤務や時差通勤などで配慮しなければならないと定める。妊娠を理由にした解雇や契約打ち切り、降格なども禁じている。
ただ、企業社会の現実は、必ずしもこうなっていない。
厚生労働省によると、都道府県労働局に昨年度、妊娠・出産に伴う雇用主による不利益な取り扱いや健康管理をめぐる相談が3千件以上寄せられた。
労働組合の全国組織・連合が2013年5月に実施した調査では、妊娠経験のある316人のうち4人に1人(25.6%)がマタハラを受けたと答えた。「妊娠中や産休あけに心ない言葉を言われた」(9.5%)、「解雇や契約打ち切り、自主退職への誘導」(7.6%)が目立った。
23日の判決後、上告した女性は代理人を通じてコメントを発表した。
「あきらめず、声をあげてよかったと、喜びの気持ちです。これまで何度も憤り、傷つき、悔しい思いをしてきました。新しい命を宿した女性がこのような苦しみを受けることはあまりに酷です」
訴訟を支援してきた、被害経験のある女性たちでつくる「マタハラnet」代表の小酒部さやかさんは、「マタハラ問題に取り組むことで、長時間労働が当たり前になっている日本の働き方を変えていくきっかけにしたい」と話している。