MENU CLOSE

エンタメ

山口淑子さん、銃殺刑の危機 イサム・ノグチとの結婚 波乱の人生

山口淑子さんの人生は、現代の日本人には想像できないほど波乱に満ちたものでした。中国では銃殺刑にされそうになり、帰国後は女優として活躍。イサム・ノグチさんとの結婚や国会議員の顔も。激動の人生を振り返ります。

映画「支那の夜」に出演、1940年ごろ
映画「支那の夜」に出演、1940年ごろ 出典: 朝日新聞

目次

銃殺刑の危機、女優からテレビ司会者、参院議員へ

【PR】手話ってすごい!小学生のころの原体験から大学生で手話通訳士に合格

山口淑子さんの人生は、現代の日本人には想像できないほど波乱に満ちたものでした。中国では銃殺刑にされそうになり、帰国後は女優として活躍。イサム・ノグチさんとの結婚や国会議員の顔も。激動の人生を振り返ります。

「3時のあなた」の司会者、1969年
「3時のあなた」の司会者、1969年 出典:追悼・山口淑子さん:朝日新聞デジタル
敗戦時、「漢奸(かんかん)」(日本に協力した中国人)として逮捕され、裁判にかけられた。新聞が「李香蘭は銃殺刑」と報じるなか、日本人であることが証明され、帰国。戦後、結婚し、女優やテレビ司会者、参議院議員などを務めて懸命に生きた。
2010年9月4日:平和は当たり前ではない 90歳「李香蘭」こと山口淑子、倉本聰の「歸國」を見る[朝日新聞紙面から]

「李香蘭」の名前、養子縁組で誕生

山口さんの父親は、旧満州で満鉄(南満州鉄道株式会社)の社員に北京語を教えていたそうです。父親が親しかった李際春将軍と山口さんが養子縁組をしたことから、「李香蘭」の名前をもらい、それが歴史的な女優の名前になったそうです。

中国では家族同士が親類のように親しくなると義理の血縁関係を結ぶ風習がありますが、父の親しかった李際春将軍と養子縁組をし、私は「李香蘭」の名前をもらいました。
2005年11月27日:(おやじのせなか)山口淑子 大陸への志で「李香蘭」育む[朝日新聞紙面から]

「日本軍が来たらどうするのか」抗日集会で迫られる

1936年、山口さんは北京の女学校に通っていました。中国語を話す山口さんを誰もが中国人だと思っていたそうです。そんな中、抗日集会で「日本軍が来たらどうするのか」と迫られた山口さん。とっさに「城壁の上に立つ」と答えたそうです。

日劇の李香蘭公演に集まった人たち、1941年
日劇の李香蘭公演に集まった人たち、1941年 出典:追悼・山口淑子さん:朝日新聞デジタル
「城壁に立ちます」
 とっさに出た言葉でした。北京を囲む城壁の上で、どちらかの国の銃に撃たれよう。そう思ったのです。祖国は日本、母国は中国。私の中には二つの国がともにあります。でもその間で戦争が起こってしまう。私の苦しみが始まりました。
2008年4月22日:(追憶の風景)北京 山口淑子 判断は1人で、それが運命[朝日新聞紙面から]

イサム・ノグチさんとの結婚、離婚

山口さんは、昭和26年に世界的な彫刻家、イサム・ノグチ氏と結婚、その後、離婚しました。ちなみにイサム・ノグチさんはメキシコの女性画家フリーダ・カーロとも大恋愛をしています。

彫刻家のイサム・ノグチとの結婚披露宴、1951年
彫刻家のイサム・ノグチとの結婚披露宴、1951年 出典:追悼・山口淑子さん:朝日新聞デジタル
かつての、山口淑子さん(現参院議員)との恋愛、結婚、離婚や、メキシコの女性画家フリーダ・カーロとの恋愛事件など私生活に関するエピソードだけを思い浮かべる人もいよう。
1992年1月13日:地球人貫いたノグチの一生(取材ファイル)[朝日新聞紙面から]

高層ビルからの風景「日本がこんな風になるなんて」

2010年の取材時、27階の高層ビルから眺めた風景に山口さんは「日本がこんな風になるなんて夢にも思わなかったわ」と語りました。「会いたい人に会える、でもそれは当たり前なことではない」と、平和な時代の大切さを訴えていました。

劇団四季の「昭和の歴史三部作」製作発表。李香蘭役の野村玲子さんと、2005年
劇団四季の「昭和の歴史三部作」製作発表。李香蘭役の野村玲子さんと、2005年 出典:追悼・山口淑子さん:朝日新聞デジタル
「それは『当たり前』ではないということを、今の若い人たちは知っておいてほしいのね。そのために大勢の人が死んだし、戦後も必死になって平和を築いた人がいた。平和は『当たり前』なんかじゃない。そうじゃなかった時代を、私たちはずっと生きてきたのよ」
2010年9月4日:平和は当たり前ではない 90歳「李香蘭」こと山口淑子、倉本聰の「歸國」を見る[朝日新聞紙面から]

関連記事

PICKUP PR

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます