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弟からのひと言…悪気がなくても「一発アウト」の冗談 夜廻り猫

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離婚して実家に戻り、子育てや家事、両親の介護や看取りなど、精いっぱいやってきた女性。でもある日、弟が言ったのは……。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られる漫画家の深谷かほるさんが、SNSで発表してきた「夜廻り猫」。今回は、深夜に荷造りをする女性のエピソードです。
きょうも夜の街を回っていた猫の遠藤平蔵。荷造りをしながら、ひとり心で泣いている女性の涙の匂いに気づきます。
女性は、30歳の時に離婚して、娘とともに実家に戻りました。
実家は弟一家が商店を継いでいましたが、女性は「負担にならないように精いっぱいやったつもり」と振り返ります。30年経って、子どもたちは巣立ち、親を見送りました。
しかしある日、弟が来客に向かってこんな冗談を飛ばしていたのです。
「うちの姉貴どう?誘ってやってよ あいつ欲求不満なんだよ」
それを聞いた女性は、「育児や介護で寝ずに働くのは女 足りなければ食べないのは女 女が意見を言えば『男がいないから』。もうたくさん」と吐露します。
「この際、都会に出て、やってみたかったことをしようと思うの。甘いと思う?もう遅いと思う?」と遠藤に尋ねます。
遠藤はすくっと立ち上がり、「わくわくします」と女性を励ますのでした。
作者の深谷かほるさんは、「今回は私が実際に見聞きしたなかで、『言ってはいけない冗談』を取り上げてみました」と語ります。
法令やルール、倫理規範を守ろうというコンプライアンスについて、「近年これが流行っているのは、おおむねいいことだと思います。昭和に生まれ育った私などの感覚は、多分に間違いを含んでいるからです」と言います。
「差別や男尊女卑、人間を生産性で輪切りにするような感覚を修正していけることは素晴らしいことです。そんななか、今回の言葉は、言ってしまったら一発アウト、怒ってもらうことすらできずに引かれてしまうものだと思います」
「悪気がなくても許されないというのは厳しいですが、そうならないように学ぶしかないですね」と話しています。
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