話題
「死にたい」と言われたら…私たちは〝助ける側〟?守るべき権利とは
誰もがグラデーションの上に

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誰もがグラデーションの上に
2024年、小中高生の自殺者数は527人(暫定値)と、過去最多となってしまいました。身近な存在の人が「死にたい」と口にしたらどうすれば――。臨床心理士のみたらし加奈さんは「多くの人が『なんとかして止めなければ』と焦るが、まずは『その気持ちを話してくれてありがとう』と伝えることも大切」といい、「TALKの原則」を紹介します。
みたらしさんは講演活動などを続けていますが、最近、自殺を防ぐ役割を果たす「ゲートキーパー」向けの講座で紹介したというのが、「TALKの原則」です。
基本的な対応方法だといい、みたらしさんは、順にこのように説明します。
《T(Tell / 話す):心配しているということを、言葉にして伝えること
A(Ask / 聞く):「死にたい」という気持ちについて、率直にたずねること
L(Listen / 聴く):相手の気持ちを傾聴すること
K(Keep safe / 安全を確保する):専門機関や信頼できる人とつなげたり、1人にしたりしないこと》
みたらしさんは、この中でも特に難しいのが「Askの『死にたい』という気持ちについて、率直にたずねること」だといいます。
《こちら側から自死について深掘りすることで、死にたい気持ちを強めてしまうと思う人は多い。しかし私自身、臨床心理士になる過程で、「はぐらかさず、ごまかさず、率直に聞きなさい」と教えられた。「死にたい気持ち」が受け止められることが最初のステップとしても重要なのだ》
みたらしさんは「自死の問題を考えるとき、私たちはしばしば『死にたい』と思う人を『助ける』側として捉えがちである。しかし本当に大切なのは、誰もがそのグラデーションの中にいると認識した上で『その人の生きる権利をどう守るか』を考えることである」とします。
そして、「もしも今、あなたの近くに、苦しんでいる人がいるなら、ぜひ怖がらずにTALKの原則を実践してみてほしい」と呼びかけます。
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