MENU CLOSE

話題

どっちがカピバラの頭骨? 〝カピバラ愛〟を深めるサイエンスカフェ

クラウドファンディングで「頭骨」のレプリカを作製、贈呈しました

カピバラ頭骨のレプリカ(左)と2倍にしたビーバー頭骨のレプリカ
カピバラ頭骨のレプリカ(左)と2倍にしたビーバー頭骨のレプリカ

目次

カピバラのことをもっと深く知ってもらいたいーー。2月上旬、東京都内で「カピバラ頭骨サイエンスカフェ」が開かれました。カピバラを愛する人々が参加し、「かわいい」だけではないカピバラについて理解を深めました。

【PR】互いに支え合い将来を選べる社会を目指し、ろう者として挑戦を続ける

頭骨のレプリカをもとに

2月1日、東京都江戸川区のTCA東京ECO動物海洋専門学校で開かれた「カピバラ頭骨サイエンスカフェ」。カピバラファンや動物関係の専門学生ら約30人が、お菓子や飲み物を楽しみながら交流しました。

集まった人たちは、「週1、2で動物園に行く」ほどのカピバラ好きです。

「どちらがカピバラの頭骨か、分かりますか?」

解説を担当する一般社団法人「路上博物館」の代表理事・森健人さんが参加者に問いかけます。

手にしているのは、カピバラの頭の骨と本来の2倍の大きさにしたビーバーの頭の骨。いずれも3Dプリンタで作られていますが、カピバラファンも迷ってしまうほどです。

どちらがカピバラの骨か「自信を持って言える」と手を挙げたファンは3人でした。

森さんは国立科学博物館が設立した科学系博物館イノベーションセンターの元職員で、2020年に「路上博物館」を立ち上げました。

路上博物館は「博物館はもっと面白い」をビジョンに掲げ、博物館の標本のレプリカを3Dプリンタで作り、地域のイベントに参加したり、カプセルトイなどを発売したりしています。

森さんは、ビーバーだけでなくライオンやシマウマ、人間の頭骨とも比較しながらカピバラの骨について説明し、参加者の質問にも答えていました。

会場には様々な生き物の頭骨が並んでいました
会場には様々な生き物の頭骨が並んでいました

サイエンス視点でも楽しむ

今回サイエンスカフェを企画したのは、アニメの聖地巡礼などコンテンツツーリズムにかかわる「聖地会議」(神奈川県)です。

2018年以降、全国のカピバラファンが撮影した写真を募集し、「カピバラ写真展」を東京や神奈川で開いてきました。開始当時20人ほどだった応募者は年々増え、現在では3倍を超えるといいます。

2023年、写真展と同時にグッズマーケットを開催したところ、カピバラグッズを作る全国のクリエイターにも輪が広がり、カピバラを中心としたコミュニティができました。

聖地会議代表の柿崎俊道さんは「次はカピバラに特化したワイワイ話せる場がほしい」と考え、サイエンスカフェを企画したそうです。

カピバラを愛でるだけでなく、学ぶイベントにしたことについて「カピバラの楽しみ方にサイエンスやアカデミックな視点が入ることで、よりカピバラと親しくなれる、面白く感じられるのではないかと思いました」と話します。

路上博物館の活動に共感し、今回講師に招きました。サイエンスカフェの開催費用はクラウドファンディングで集め、路上博物館の協力のもと、3Dプリンタで作ったカピバラ頭骨のレプリカやサイエンスカフェへの参加チケットを「リターン」にしたといいます。

参加者へカピバラの頭骨を渡す一般社団法人「路上博物館」の代表理事・森健人さん(右)
参加者へカピバラの頭骨を渡す一般社団法人「路上博物館」の代表理事・森健人さん(右)

サイエンスの心構えは

サイエンスカフェでは、「カピバラにはしっぽがないけど、尾骨はある。進化の過程で必要なくなったからないのでは?」「カピバラはどこまでが爪か分からない。蹄(ひづめ)になっているのでは?」といった議論も交わされました。

参加者からは「カピバラの全身骨格を知るうえで、おすすめのサイトはありますか?」という質問も。

路上博物館の森さんは、「まず重要なのは『学名』で調べること。学名に『anatomy(解剖)』や『skeleton(骨格)』とプラスして調べるのもいい。日本語だけでは限られるので、英語やポルトガル語などで探してみると面白いと思います」と話していました。

ちなみに、カピバラの学名は「Hydrochoerus hydrochaeris」だそうです。

最後に森さんは、参加者へ「サイエンスへの心構え」を伝えました。

「サイエンスは信じたらおしまい。疑うことが重要です。現象や資料の存在は信じても、絶対に僕の話を信じないでほしい。実際は何も分かりません。でも、『こうかもしれない』という可能性から論文にします。今日いろいろ話が出ましたが、何が本当なのかは実際にカピバラを見て考えてください。我々は『可能性がある』という中で思考を進めていくしかないのです」

聖地会議の柿崎さんによると、サイエンスカフェは今後も開いていくといい、「カピバラを通して、動物に対する死生観についても意見交換をしていきたい」と話しています。4月にはカピバラ写真展も開催するといいます。

関連記事

PICKUP PR

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます