「ボールの表面が劣化した状態で空気を入れ過ぎたり荷重をかけたりすると、破裂してけがをするおそれがあります」と専門機関や国民生活センターが呼びかけたのは、身近な運動器具のバランスボールです。中には「ノンバースト」をうたった商品で「背骨を骨折した」というケースも。最近も重大事故が報告されており、注意が必要です。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
スポーツの秋を迎え、しまい込んでいた運動器具を取り出し、また使い始めた人もいるのではないでしょうか。しかし、身近な運動器具の中には、劣化により重大なケガをするおそれがあるものもあります。
その一つが空気を入れて膨らませ、身体と密着させてトレーニングする球状の運動器具であるバランスボールです。
消費者庁によると、使用中のバランスボールが破裂してケガをした事例は、原因を調査中のものを含めて、これまで10件以上、報告されています。最近でも、仙骨を骨折したとする8月の事例が、9月18日に公表されました。
空気を入れた際の直径は大きい商品で70cm以上になり、それだけの高さから全体重を預けたまま落ち、受け身も取りづらい体勢であることを考えると、重大な事故が発生しやすいといえます。
国民生活センターが2021年3月に公表した商品テストの結果によれば、「ノンバースト(穴があいても急激に空気が抜けにくい)」をうたった商品でも、穴が上下方向に急速に進展して裂け、瞬時に空気が抜けたということです。
センターが実際に破裂した商品を確認すると、座ったときに側面となっていた部分の一部が上下方向に大きく裂けており、裂けていない部分にも内面に達しない程度の亀裂が複数、みられました。この事例では、被害者は腰椎を骨折しています。
独立行政法人製品評価技術基盤機構構(NITE)は、「ボールの表面が劣化した状態で空気を入れ過ぎたり荷重をかけたりすると、破裂してケガをするおそれがあります」と注意喚起します。
NITEは事故を防ぐために「取扱説明書に記載の最大空気圧を超えないよう注意しましょう」「ボールの直径が指定されている場合は、家具やいすなどの寸法と比較して直径が超えないように注意してください」と呼びかけます。
「傷やひびがあるなど劣化している状態で使用しない」「使用する前にボールの表面を確認して、傷やひびなどが見つかった場合には使用を中止してください」としました。