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TBS新番組『ジョンソン』初回に批判も自ら〝ニセモノ感〟を笑いに

『ジョンソン』のメインキャストの一組であるかまいたち。かまいたちの濱家隆一さん(右)と山内健司さん=2021年4月10日、大阪市中央区
『ジョンソン』のメインキャストの一組であるかまいたち。かまいたちの濱家隆一さん(右)と山内健司さん=2021年4月10日、大阪市中央区
出典: 朝日新聞社

目次

今年10月、TBS系列で『リンカーン』の正式な後継番組『ジョンソン』がスタートした。第1回目の放送で視聴者からネガティブな意見もあった新番組は、何を引き継ぎ、どんな違いを出そうとしているのか。新旧番組の比較から、『ジョンソン』の持ち味と今後の可能性について考える。(ライター・鈴木旭)

最初から“ざらつき”のない番組

『リンカーン』が終了し、20年後にスタートした後継番組とあって、『ジョンソン』のレギュラーメンバーの世代はグッと若くなった。とくに注目すべきは、そのコントラストだ。

2005年にスタートした『リンカーン』は、ダウンタウン、さまぁ~ず、雨上がり決死隊、キャイ~ン、DonDokoDon ・山口智充(2009年まで)という5組の売れっ子を揃えた。さまぁ~ずがホリプロ、キャイ~ンが浅井企画、ほか3組が吉本興業だ。関東にはお笑い養成所がない、もしくはできたばかりで通っていない世代の芸人たちだ。

当時、ダウンタウンは後輩芸人とガッツリ共演することが珍しく、それ自体が企画の臨場感や面白さを生んでいた。ダウンタウンが芸歴23年、それ以外のレギュラーメンバーが11~15年前後のキャリアで始まっていることからも、「それなりの芸歴を重ねたうえでも、ダウンタウンがメインの番組に出たい」という思いが浮かび上がる。

一方で『ジョンソン』のメインキャストは、かまいたち、モグライダー、見取り図、ニューヨークの4組。モグライダーがマセキ芸能社、ほか3組が吉本興業だ。いずれも旬な芸人コンビには違いないが、『リンカーン』よりも並列な顔触れという印象を受ける。

きっとそれは、番組スタート前からテレビやラジオ、YouTube、ライブでの共演があり、すでに一定の信頼関係が築かれているためだろう。芸歴を見ても、もっともキャリアの長いかまいたちやモグライダー・芝大輔と、一番後輩のニューヨークとは6年の差で、『リンカーン』メンバーほどは離れていない。

どちらかと言えば、「アラフォー世代の芸人たちによる番組」というほうがしっくりくる。モグライダー・芝は吉本興業のお笑い養成所に通っていた経歴を持ち、SNSや動画配信の時代にあって、東西による笑いの違いも以前ほどは感じない。あらゆる点で『ジョンソン』は、最初から“ざらつき”のない番組なのだ。

『リンカーン』の再現と大きな違い

今振り返ると、『リンカーン』はダウンタウンがいてこその企画も少なくなかった。

若手芸人がロケを通してダウンタウンとの距離を縮める「フレンドリーダウンタウン」をはじめ、『人志松本のすべらない話』(フジテレビ系)のパロディー「すべる話シリーズ」、ゲスト芸人がレギュラーメンバーに対して様々な意見をぶつける「説教先生シリーズ」などは、いずれも“絶対的な存在”ゆえに引き立つ面白さと言える。

「芸人大運動会」も、ダウンタウンをはじめとする名だたる芸人たちが運動会に臨む姿そのものが新鮮だった。『ジョンソン』の第1回目で同じ企画が放送されたのを見て、『リンカーン』のリアルタイム視聴者は物足りなさを感じたのではないだろうか。「出演者が若い世代に入れ替わっただけ」と捉えれば、その反応は至極当然だろう。

しかし、番組のレギュラーメンバーや制作陣は、それを百も承知で決行したはずだ。というのも、第2回目に放送された「強運No.1決定戦」も、『リンカーン』の2時間スペシャルで評判を呼んだ企画の大枠をほぼ踏襲していたからだ。

『ジョンソン』は、「運試しゲームを繰り返し、最後に残った1人があらかじめレギュラーメンバーから徴収した合計400万円を手にフィリピンのカジノで勝負する」という内容。これに対し、『リンカーン』は細部の違いこそあるが、最終的に「徴収した100万円を持って韓国のカジノで勝負する」というものだった。

「ブレーキが利かない自転車を選ぶと海に落ちる」という運試しゲームにおいては、飛び込む先が「海」か「池」かの違いのみ。明らかに『リンカーン』の企画を再現したもので、むしろ、“わかる人にはわかる面白さ”を意図的に組み込んでいるようにも見えた。

ただ、企画のラストは大きく異なっていた。『リンカーン』が「韓国のカジノで大勝負に出て一気に100万円が没収される」というストレートな結末だったのに対し、『ジョンソン』は「実はモグライダー・ともしげへのドッキリだった」という捻った展開に持ち込み、次週へと続いた。思うに、これこそが番組の狙いだったのだろう。

時代を思わせる企画に期待

かつてインパクトのあるドッキリ企画と言えば、『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)のイメージが強かった。「スティンガー」「ブラックメール」「アイドルトラップ」など、主に恋愛系のドッキリが世間で話題となったものだ。

しかし、2010年代中盤以降、徐々に『水曜日のダウンタウン』(TBS系)が“込み入ったドッキリ”の代名詞となっていった。この番組の演出を担当しているのが、『リンカーン』にAD・ディレクターとして参加していた藤井健太郎氏だ。

そんなTBSバラエティーの強みもあり、『ジョンソン』のドッキリ企画へとつながったように感じてならない。

またバラエティーは、時代の流行も企画に反映されやすい。『リンカーン』においては、芸人が普段交わることのない人々と1週間過ごす「世界ウルリン滞在記」(同局で放送されていた『世界ウルルン滞在記』のパロディー)でその影響が垣間見えた。

バナナマン・日村勇紀がギャルサーを訪問しパラパラを習得する、FUJIWARA・藤本敏史がゲイのマーチングバンドに交じりドラム(クイント)を特訓する、中川家・剛がヒップホップグループに弟子入りしラップ修業を積むといった企画は、どれも当時の時代性を捉えている。

ちなみに、FUJIWARA・藤本が出演した放送回で「どんだけ~」が新宿2丁目でブームになっていることが紹介され、美容家でタレントのIKKOの決め台詞として広く世間一般に知れ渡り、2007年の「新語・流行語大賞」のノミネートに至っている。こうした時流は、出演者や制作陣も予想しようがない。

今後、『ジョンソン』でもこれに近い企画が展開されるだろうが、例え同じフォーマットであっても必然的に今の時代ならではの内容になるはずだ。個人的には、この点にも期待している。

“ニセモノ感”楽しむレギュラー陣

芸能界には、「メンバーを入れ替えることで鮮度をキープする」というセオリーがある。

アイドルグループや番組のレギュラーメンバーで見られる卒業システム、定番コントに様々なゲストを招くパターンなど、今でもよく用いられる手法だ。スポーツと同じように、基本的なルールや枠組みは変わらないが、スター性のある新人の登場によって人気が上向くと考えられているのだろう。

まさに『ジョンソン』は、そこでの戦いを選んだのではないか。基本的なフォーマットは『リンカーン』だが、かつてとは違うアラフォー芸人たちの連携プレーによって“別モノにならざるを得ない”面白さを追っている気がするのだ。

番組の第2回目のオープニングで、見取り図・盛山晋太郎が「かまいたちさんはダウンタウンさんでしょ?」と水を向けると、かまいたち・山内健司が「そういうことや」と即答。これに見取り図・リリーが「中国(の)松っちゃん?」と茶々を入れ、ニューヨーク・嶋佐和也が「盛山さんがぐっさん(山口智充)ですよね?」とつなげ、盛山が「嶋佐が宮迫(博之)さんか」と返して笑わせたシーンを見ても、自分たちの“ニセモノ感”を楽しんでいるように感じた。

あえて『リンカーン』というレールに全乗っかりし、4組の持ち味に焦点を当てた別番組を作っていく。アメリカの16代大統領エイブラハム・リンカーンに続くアンドリュー・ジョンソン大統領の名を冠したタイトルからも、そんな裏テーマがあるのではないかと勘繰ってしまった。

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