連載
#8 #就活しんどかったけど…
就活「納得するまで続けたい」起業を見据え、スタートアップか大手か
連載「就活しんどかったけど…」
志望する業界の大手企業から内定が出たものの、スタートアップでのインターンを検討したり、他企業の担当者と面談をしたりして就活を続けている都内の私立大学の4年生。「企業名」よりも「自分がどんな仕事をしたいか」を大事にするため、「納得するまでやろう」と考えているそうです。就活で感じたことを話してもらいました。(withnews編集部・水野梓)
都内出身の男性(22)が、最初に内定をもらったのは大学3年の9月、夏のインターンに参加した企業からでした。
ほかにも翌年の6月、大手人材系の企業から内定が出ました。それでも、気になっているスタートアップ企業があって「まだ悩んでいます」と話します。
大学を休学してのイギリス留学から帰国した3年生の4月から就活を始めました。夏のインターン選考に向けて、さまざまな企業の会社説明会に参加し、選考を受けていったといいます。
自分のキャリアプランを「最終的には起業したい」と考えている男性。起業を意識するようになったのは、高校生の頃、関西の予備校経営者のYouTube動画を見ていたことがきっかけだったといいます。
「自分の目標を掲げ、そこにまっすぐ生きているところがかっこいいなって感じたんです」
もうひとつの理由は「自分の働きたい人と働ける」ということだそう。「働きたい人と目標を達成するのが、自分の性に合うんじゃないかなって思っています」と話します。
将来の起業のためにも、「事業に必ず関わってくるITや人材業界で、早くから責任を持たせてもらえる実力主義の企業で働きたい」と考えて就活に臨んでいたそうです。
男性が就活中にいちばん悩んだのは、志望度が高かったIT系の企業の人事面接で落ちてしまったときでした。
「そこまでは、難関と言われている夏のインターンにも5,6社受かっていたし、すごくうまくいっていたので、落ち込みましたね。今考えると準備不足でしたし、ちょっと調子に乗ってましたね(笑)」と振り返ります。
「『飾っても意味がないし、このままでいこう』と考えていましたが、それと『準備する・しない』は別ですよね」と話します。
企業と就活生の関係を考えさせるような体験もあったといいます。
とある人材系の企業では、最終面接の直前に突然、「採用人数に達したので、採用を終わります」というメールが送られてきたそうです。
「事前の連絡もなく一方的で、正直イラッとしましたね」と苦笑します。
まるで「告白していないのに振られた」ような状況。「もし今後、自分が事業を始めたらビジネス相手にもなりうるわけですが、ちょっとお付き合いしたくないなぁと思ってしまいますよね」と話します。
「内定を頂いたけれど自分が辞退した企業のなかには、『今後、関わる機会もあると思うので、その際にはよろしくお願いします』って言ってくれるところもありました。形式上なのかもしれませんが、こちらの気持ちがホッとしましたし、『いい会社だな』という印象を持ちました」
目指す業界の企業からの内定はなかなか出ませんでしたが、就活を通して、「焦る」ことはほとんどなかったという男性。
1年間の休学期間があったため、大学の同学年の友人はほとんど就活を終えていて、「比べる相手がいなかったんですよね」と振り返ります。
今も、「納得できるまでやろう」と考え、別の企業の面談を受けたり、スタートアップ企業の人事担当者と面談したりしているそうです。
「その担当者の方がすごく親身になって話を聞いてくださって。『どの企業で働くか』という企業名ではなく、『自分がそこで誰とどんな仕事をして、何を成し遂げたいか。その企業を自分がどうしたいか』を大事にしたいと考えるようになりました」
担当者やスタートアップ企業の創業者を魅力的に感じ、「ここで働いたら学べることがたくさんあるかもしれない」と感じているそうです。
いま内定が出ている企業の担当者には、「正直にありのままの状況を伝えています」と言います。
「周りからは『まだ就活やってるの?』って思われるかもしれませんが、就活を続けていることはマイナスでもなんでもないと思います。納得できるキャリアを見つけるために動いているので、ちゃんと最後まで向き合いたいと思っています」
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