連載
#83 夜廻り猫
友人たちとの会話 知らない話題で置いてきぼりに…マンガ夜廻り猫
前の職場の友人たちと集まるとき、毎回、自分の知らない話題が出てくることがあって――。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られる漫画家の深谷かほるさんが、ツイッターで発表してきた「夜廻り猫」。今回は、深谷さんが「長らく気になってきたこと」のエピソードです。
きょうも夜の街を回っていた猫の遠藤平蔵。ひとり歩く女性の、心の涙の匂いに気づきます。
前の職場のグループでの食事からの帰り。
女性は「時々集まるんだけど、毎回、いくつか私には分からない話が出るんだよね」とぽつりと言います。
「こないだばったり会ったんだけど」「じゃあまだ独身なの!?」
「自分だけ知らない話」はしばらく続くことも。入っていくのは難しく、女性はただ聞いているだけ。
とはいえ、楽しそうな3人に悪気がないことも分かっています。
「でも『私のことはどうでもいいんだな』って感じてしまう。寂しいけど、もう会うのやめようかな」と考えるそうです。
「私の心が狭すぎるのかな」と遠藤に話しかけると、遠藤は「置いてきぼりか…気にしない性格になりたい?」と問いかけます。
「でも…そうなったら、私が誰かを置いてきぼりにしたりするのかな? それはやだなぁ」と思いつく女性。
「しょうがない 気にしちゃう性格でいいや」。そう吹っ切った女性に、遠藤は「おつかれさま」とにっこりするのでした。
「今回は、小さいけれど気になることを描いてみました」と、作者の深谷かほるさんは話します。
数人で集まっているとき、全員が知っているわけではない話題で、盛り上がり続ける――。
「大きなことではないんですが、長いこと『私はすごく嫌いな行動だなぁ』と思っていました。ここまで嫌う自分にも問題があるかもしれないな、と感じたほどです」
深谷さんは「自分だけが仲間に入れない話をされたら、しかもその話題が続いたら、つらくないですか? ちょっと理解してくれたらいいな、と長年思っています」と話しています。
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