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冷やし「過ぎ」中華始めました!衝撃写真で訴える〝春先の危険〟

油断大敵、国交省が本気で伝えたいこと

なぜ冷やし中華を傾けているのか……?その深い理由について取材しました。
なぜ冷やし中華を傾けているのか……?その深い理由について取材しました。 出典: 国土交通省飯田国道事務所のツイッター(@mlit_iida)

目次

春の訪れを、少しずつ実感できるようになってきた昨今。国土交通省の出先機関がツイッター上に投稿した、この時期に注意すべきことに関するメッセージが、注目を集めました。それもそのはず、予想外の衝撃写真が添付されていたからです。風変わりな啓発ツイートの背景事情について、取材しました。(withnews編集部・神戸郁人)

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宙に浮く麺、ジワる構図

「冷やし”すぎ”中華はじめました♪」。ご機嫌な書き出しで始まるツイートが、突如登場したのは、2023年2月22日のことです。

2枚の添付画像に写っているのは、凍結した路面に置かれた冷やし中華。皿の上には、真っ赤なスライストマトやキュウリなど、色鮮やかな具材の数々が載っています。

異彩を放っているのが、中華麺です。何と、箸でつまみ上げた状態のまま、カチカチに凍っています。2枚目の画像に至っては、皿を地面に向かって垂直に傾けているのですが、びくともしません。

「食品サンプルかと思った」「攻めてます!」「これはジワる」。画像に対しては、戸惑いのコメントが相次いで寄せられています。一体何事でしょうか?

実はこのツイート、国土交通省の出先機関・飯田国道事務所(長野県飯田市)の公式アカウント(@mlit_iida)が、冬用タイヤの装着を呼びかける目的で作成したものでした。

「※この後、スタッフ(職員)がおいしくいただきました」と、「冷やし過ぎ中華」の末路を伝えるシュールな報告文も添えています。

「本物を作ってみようじゃないか!」

やや季節外れにも思えるモチーフを通じて、メッセージを伝えたいと思ったのは、なぜなのでしょうか? 画像を撮影したという、飯田国道事務所木曽維持出張所(長野県木曽町)の男性職員に、直接話を聞きました。

男性によると、今回の取り組みには前日譚(たん)があります。2022年12月、ふやかしたカップ麺を凍らせた状態で写真を撮り、ツイートしたのです。凍結路面への注意喚起が目的でしたが、投稿には1万件近い「いいね」がつきました。

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「このツイートに『これじゃ、まるで〝冷やし過ぎ中華〟だ』というコメントが書き込まれていたんです。『それなら、本物の〝冷やし過ぎ中華〟を作ってみようじゃないか!』。そう思い立ち、実際にやってみることにしました」

そして2月16日の深夜、自宅で調理した冷やし中華をベランダに出し、一晩寝かせたそうです。箸は麺をつまみ上げた状態で、自前のカメラ用三脚に固定。更に、2段重ねにしたティッシュペーパーの空箱上にお皿を置き、高さを合わせました。

「翌朝4時頃に様子を見てみたところ、狙い通りにすっかり凍りついていました。当時の外気温はマイナス11度ほどで、虫などが寄りつく心配もなかった。幸い、一切損傷することなく、完全な形を保っていたんです」

男性が撮影した、冷やし「過ぎ」中華の画像。現地の寒さが伝わってくる。
男性が撮影した、冷やし「過ぎ」中華の画像。現地の寒さが伝わってくる。 出典:国土交通省飯田国道事務所のツイッター(@mlit_iida)

急に冷え込むとまだ危ない

2月17日朝、男性は自家用車の助手席に、冷やし中華を載せて出勤。職場に到着すると、駐車場で一連の写真を撮影しました。後ろを通りかかった同僚たちから「よく凍っているね」と声をかけてもらえたといいます。

男性が勤務する木曽維持出張所は、国道19号のうち、長野・岐阜両県境~長野県塩尻市間の85.1キロを管理しています。場所により、今もなお路肩に雪が積もっているそうです。

現地では最近、真冬の時期と比べて降雪量が減り、徐々に雪解けが進んできました。一方で昼夜の寒暖差が大きいため、溶け出した雪が凍ってしまい、アイスバーンになりやすいのだとか。ゆえに冬用タイヤが欠かせないと、男性は語ります。

「スリップ事故などが起きないよう、当出張所としても万全の体制で道路管理に臨んでいます。しかし急激に冷え込むと、いつの間にか路面が凍結し、滑りやすくなる。まだまだ油断できない季節なのだと知って頂きたいですね」

冷やし「過ぎ」中華は、傾けても落下する気配が一切なかったという。
冷やし「過ぎ」中華は、傾けても落下する気配が一切なかったという。 出典:国土交通省飯田国道事務所のツイッター(@mlit_iida)

面食らった?「麺だけに」

ちなみに冷やし中華について、撮影時を除き、仕事中に職場で話題になることはなかったそうです。そして2月17日夕方、男性が自分で解凍して食べたといいます。

このことを巡り、「目にした人もいたかもしれないけれど、面食らって何も言えなかったのでは?」と記者が尋ねると、男性は「その可能性もありますよね……『麺』だけに(笑)」と答えました。

ともあれ、今回のツイートを通じて、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンの重要性が周知されたことでしょう。広く注目を集めた点に関して、男性は次のように話しています。

「ネット上の反応を見て、冷やし中華を作って良かったなと思いました。長野県内が今も寒く、自動車で走行する際は気を緩めてはいけないのだと、理解して頂くきっかけになればうれしいです」

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