連載
#78 夜廻り猫
「子どもはいない方がラク」母はそう言ったけど…マンガ夜廻り猫
結婚を決めたとき、母から「できれば子どもはいない方がラク」と言われた女性。歳をとった母を介護して看取った今、思うことは――。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られる漫画家の深谷かほるさんが、ツイッターで発表してきた「夜廻り猫」。今回は、子どもにまつわるエピソードです。
「できれば、子どもはいない方がラク」。結婚を決めたとき、母とお茶をしていてそう言われた女性。「子どもとしては複雑だけどね」と答えます。
事業に失敗した父が病気になり、人づきあいもなくなって、夫も娘も借金も背負った母。女性は「そう言うのも無理はないな」と感じました。
母の言葉に従う気はありませんでしたが、女性と夫は残念ながら子どもを授かりませんでした。
高齢で弱ってきた母と同居。「施設を探して、負担になりたくない」と言うのをなだめて介護しながら、10年後のいま、看取りました。
そんな女性が歩んできた道を聞いて、猫の遠藤平蔵は「子どもがいる人生と、いない人生、どちらがラクだと思いますか」と尋ねます。
女性は笑顔で「どっちも大変!」と答えます。
「でも、どっちも素晴らしい きっと」
作者の深谷かほるさんは、「出産・子育ては大変です。大変過ぎます」と指摘します。
子どもに障害があったら、病気になったら。いじめに遭ったら、いじめをしたら、ぐれてしまったら……。親へのプレッシャーは尽きません。
「もし子育てに必要なお金を稼げなかったらどうなるのでしょう。現状は『親がなんとかするしかない』状況ではないでしょうか」と話します。
若い世代に子どもを持つ余裕があるかどうかを考えると、深谷さんは「『ない』のが普通ですよね」と言います。
「自分の老後だけでなく、親の介護が必要になったらそれも負担する……視界が真っ暗になってしまう人も多いでしょう」
「子どもとお年寄りを支援しなければ、国はすぐに滅びます。防衛費ではなく、子どもやお年寄りのためにお金を使ってほしいです」
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