連載
#73 夜廻り猫
キャラ弁を褒めてくれたママ友が…不意打ちの衝撃 マンガ夜廻り猫
子どものお弁当に「キャラ弁」をつくっていた女性。ママ友から「かわいい!」と褒められた翌日、幼稚園から「キャラ弁はやめましょう」というメールが届いて……。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られる漫画家の深谷かほるさんが、ツイッターで発表してきた「夜廻り猫」。今回は、ママ友との関係に悩む女性のエピソードです。
きょうも夜の街を回っていた猫の遠藤平蔵。自宅の庭に座り込む女性から、心の涙の匂いをかぎとりました。「どうなすった?」
女性は子どもの幼稚園のお弁当に「キャラ弁」をつくっていました。
ママ友から「キャラ弁上手なんですって? 見たーい」と声をかけられ、「すごーい!かわいい!また見せて」と褒められました。
しかし次の日、幼稚園から「キャラ弁はやめましょう」という一斉メールがきました。
先生に話を聞くと「子どもたちがキャラ弁をうらやましがるから、お母さんたちが困っている」と説明します。そう言ってきたのは、あのキャラ弁を褒めてくれたママ友だったのです。
キャラ弁、褒めてくれたのに――。
ショックを受けた女性は「生きていると、不意打ちみたいなことってあるよね 耐えるしかないことってあるよね……」とつぶやきます。
遠藤は「おつかれさま……」とただ声をかけるしかなかったのでした。
作者の深谷さんは、マンガを描きながら自身の体験を思い返していたそうです。
「子どもを幼稚園に入れる時、近所の先輩ママが『親のなかには、挨拶しても無視で、返事もしないようなやつが一部いるからね。でも、だいじょぶだいじょぶ』とアドバイスをしてくれたんです」
深谷さんは驚き、「あなたみたいに素敵なお母さんを無視する人がいるの? なんで?」と問い返したそう。
頭の回転が速い先輩ママは「私の顔に高卒って書いてあんじゃない?」と冗談を言って笑い飛ばしていましたが、深谷さんはそのアドバイスを半信半疑で聞いていたといいます。
しかし子どもが幼稚園に入って驚いたのは、その助言通りのことが起きたということ。
「理由は分かりませんが、同じクラスのお母さんの5%くらいに、本当に、挨拶しても返してくれない人がいたんです」
しかし先輩ママの助言があったおかげで、「そんなものか。あの素敵なお母さんでも無視されるんだもんね」と自分を慰め、気にしないようにできたといいます。
「人それぞれ感じ方は千差万別だと思いますが、〝その感じ〟は子どもが小学生になっても、中高生になっても同じだった気がします」と振り返る深谷さん。
「『一部嫌なやつもいるけどね。でも、だいじょぶだいじょぶ』。楽しそうに、そう言ってくれた先輩はありがたいなあと、20年経っても思い出します」
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