ネットの話題
長方形の雨雲? レーダーに映った物体の正体は 気象庁に聞いた
「バグじゃない。でも雨でもない」
雨などを察知するのに役立つ雨雲レーダー。偶然に「異様」な影を目撃してしまったという画像がSNSで話題になっています。これは一体、何なのか。気象庁に話を聞きました。
7月4日夜、長崎県の壱岐島沖を中心にとらえた雨雲レーダーの様子。
写っているのは、雨雲にしては、形が整いすぎた四角い影。
投稿には「上空にUFO的な何かが来てますね」「神様が落としたスマホでは」「PEZ(ペッツ)か?」「人類を超越した科学力を持った何かが雨雲とともに移動している……!(ラピュタ的な)」とコメントも騒然とし、「いいね」は8万件以上になりました。
え…何?
— gari@TKC (@gari09tr) July 4, 2022
この長方形な雨雲は?
何かのバグかな思ったけど全ての雨雲レーダーで同じだ🤔 pic.twitter.com/h6LVevhIDs
九州地方在住の「gari@TKC」さん( @gari09tr )は、ツーリングが趣味でもあり、日頃から「雨雲には敏感」。雨雲レーダーや天気予報は身近な存在でした。
でも、偶然目を留めた、これまで見たことがない「長方形の雨雲」には、「え……何?」。
別の天気予報の雨雲レーダーも確認しましたが、同じような形だったため「ビックリしました」。
最初は「珍しい形なので面白い」と思ってツイッターに投稿しましたが、あまりに整いすぎた形に、「捏造したと思われるかも」と心配にもなりました。
「竜の巣だ」「ドラえもんの雲の王国」など、様々な臆測を呼んだ、謎の影。何なのか、気象庁に、取材しました。
回答してくれたのは、気象庁で観測機器の管理を担当する観測整備計画課です。
この「異様な影」については、当日から把握していたそうです。
気象庁は24時間365日体制で、全国のレーダーにおかしなことがないかを監視しているそうです。そして、気が付いたことは書き残して共有します。
その記録をふまえて気象庁の担当者が詳しく確認したところ、7月4日の午後7時頃から翌5日午前7時頃まで、種子島を中心とした半径400キロの範囲を観測するレーダーが、この異様な影と似たものを断続的にとらえていたと言います。
ツイッターでも話題になっているのを知り、「関心を持ってデータを見て頂いているんだな」と驚いた という担当者。
では、一体何だったのでしょうか。
「原因は、実はよく分かっていないのです。ただ明らかなのは、レーダーの故障ではないことです。前後の画像から見て、降水現象ではないものが映ってしまった可能性が高いです」
雨雲ではないそうです。
まさかUFOの可能性も出てきたのでは……。
そう聞いた著者に、担当者は「UFOはなんとも言いがたいですけど……」とやんわり否定しつつ、「ほかの無線局の電波干渉など何らかの外的要因により影響を受けて 、降水現象ではないものが映り込んでしまったと推測しています」と答えました。
ほかの無線局というと、船舶など様々な要因がありそうですが、今回の場合が何だったのかは分かってはいないそうです。
「でも、故障ではないので、安心して見てください」
「私たちは、レーダーの管理を担当しています。気象庁にはほかにも多くの専門家が、このデータを使って予報などに役立てています。豪雨や台風などが多い時期なので、ぜひ、データを活用してもらえたらと思います」
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