ネットの話題
猫とご近所さん、裏テーマはアナログ 「特別じゃない日」作者に聞く
稲空穂さんを取材しました
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稲空穂さんを取材しました
「特別じゃない日」をテーマに描き続けている漫画家の稲空穂さん。作品をまとめた単行本の第2巻「特別じゃない日 猫とご近所さん」(実業之日本社)が7月21日に発売されました。「裏テーマは『アナログ』です」と話す稲さんを取材しました。
「特別じゃない日 猫とご近所さん」本日発売となりました!🐈
— 稲空穂 (@ina_nanana) July 21, 2022
今回も全国の本屋さんに応援いただき特典もございます。どうぞよろしくお願いいたします…!
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全10話をオムニバス形式でまとめた第2巻。
特別な日の特別な時間も大切だけれど、それよりもずっと数が多い「特別じゃない日」にも喜びを見つけられたら、毎日はもっと素敵になる。
そんな思いで描いている作品の数々です。
それぞれ独立した物語として完結しているため、気になった話から読んでも楽しめます。
ただし、脇役で登場したキャラクターが次の話で主人公になるといった仕掛けもあり、通して読むことでさらなる発見もあります。
「幅広い年齢層のキャラクターを描きながら、『あ、このキャラは前回出てきたあの人だ』と気づいてもらえるよう試行錯誤しました」
第1巻の裏テーマが「スマホ」だったのに対し、第2巻は「アナログ」に。
スマホが普及したデータの世界だけでは経験できない、目と目を合わせた会話だったり、手に取り感じることのできるものだったり。
「ご近所づきあい」や「手紙」、「幼いころに描いた絵」などをモチーフに描いたそうです。
「第1巻での『スマホを使う老夫婦』と対照的に、第2巻では『スマホを使えなくなった女子高生』が登場します。自分自身、描いていてとても楽しかったです」
サブタイトルにもなっている「猫とご近所さん」には、稲さん自身が猫を迎え入れたことも影響しています。
4カ月ほど前、知り合いの方から「最近うちにやって来るようになった野良猫を保護しました、ご興味はありますか?」と声をかけられたそうです。
犬しか飼ったことがなく、猫はまったく未知の生物。
かまれたり、引っかかれたりするんだろうなと思いながら、「お顔を見に行くだけだから」と車で会いに行くことに。
断る際のセリフを車内で考えていましたが、玄関で会うとすぐに抱きつかれてメロメロに。
ひざに飛び乗り、肩に擦り寄ってくる猫からはお日様のにおいがしたそうです。
「目の前に抜群の猫資料が存在しているので、猫のイラストをスムーズに描けるようになりました」と稲さん。
ひとりで執筆作業中、横でスヤスヤ眠る姿が心の平穏を保ってくれているといいます。
「特別じゃない日」を描くようになってから、今まで見落としていたであろう日々の小さな出来事をすくい上げることができるようになったそうです。
「残念な出来事もありますが、それも何かの縁、これからの私に必要な出来事だったのだと思えるようになりました」
作品を読んだ人々が、忙しい生活の中で忘れがちな大切なものを思い出すきっかけになればいいな、と思いながら執筆しています。
今後の展開については、話数を重ねるごとに登場人物も少しずつ増えてきたので、「食事」や「職業」などにも焦点を当てていくことを構想中です。
「『こんな優しいだけの世界はありえない』といったご感想を持たれるかもしれません。私自身もそう思っております」と稲さん。
世間がざわついている昨今、他人のむき出しの感情をダイレクトに受け取ってしまう機会が増えつつあります。
だからこそ、優しくしてもらえないと感じる時は、まず自分から優しくすることを提案したいそうです。
「最近、倒れていたミニトマトのプランターを起こして『私って優しい』と自画自賛しました。大変なご時世ですが、多くの方が隠れている宝物をたくさん見つけられるよう願っています。これからも『特別じゃない日』を応援していただけたらうれしいです」
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