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母、蓮舫と〝決別宣言〟村田琳さんのその後「気まずくないですよ」
「母の目を気にする人生だった」動画の真意は?
蓮舫参議院議員の長男、村田琳(むらた・りん)さん、24歳。現在、総勢40人の男性アイドルグループ「VOYZBOY」のメンバーとして活動をしています。村田さんは、2021年1月、YouTubeで母親との決別を宣言する動画を公開しました。「これまで母の知名度でさまざまなメディアに取り上げられてきたが、そこでの発言は、母を傷つけないことだけを考え、自分の意志による言葉ではなかった」と切り出し、次のように語りました。「もう今日で母親のことを気にして生きるのをやめたいと思います。思ったことを全部発言します」。宣言の裏には、どんな思いがあったのか。YouTube「たかまつななチャンネル」で聞きました。
――母親の蓮舫さんと決別するという趣旨のYouTubeを見て「息子さん、何があったんだろう」とすごく気になっていました。なぜあの動画を撮ろうと思ったんですか?
村田:そもそもあの動画は決別という意味で出したわけではないんです。芸能活動を2年近くやっていますが、取材やテレビ出演があると、必ずと言っていいほど蓮舫の息子ということで母のことばかり聞かれます。それは村田琳としてのアイデンティティーがないからで、このままじゃいけないなと思って動画を撮りました。
――動画では「母の知名度(名誉)を傷つけないために」とか、「母の目を気にする人生だった」とおっしゃっていましたが、実際そうだったんですか。
村田:そうですね。小さい頃から母が政治家という人前に出る職業だったので、母の目を少なからず気にしながら生きてきました。芸能活動を始めてからは、政治に触れちゃいけないとか、発言するならきれいなことを言わなきゃと意識してきましたし、僕の芸能活動(をする上での言動)に対して母親の教育が間違っていたからだという捉え方をされないように気をつけてきました。
――あの動画を出してから、蓮舫さんと気まずくなっていないですか。
村田:全然なっていないです。別に母のもとを離れる、母と反対の道を行くという意味ではなくて、村田琳として自分の人生を考えたいという意志の表れだったので、そこに対しては母も分かってくれて、何も気まずいことはなかったですね。
――蓮舫さんと言えば、厳しい言葉づかいが印象的ですがご家庭ではどうですか?
村田:家では違いますね。息子から見ると、母が国会であのような話し方をするのは、パフォーマンスの一種だと思っています。今は女性もどんどん社会に参加していく時代で、女性議員だからってなめられたくないという思いがあるからこそ、男性にも強い口調で向き合っているのかなと思いますね。
――小さいころは怖かったんじゃないですか?
村田:別に家で怒る人ではないですけど、外で怒っている母を見ているので、姉と自分は「怒ったらこうなるから、宿題はちゃんとしようね」とか「勉強はちゃんとしようね」という暗黙の了解になっていて、抑止力になっていたのかなと(笑)。
――マスコミに注目されたり大変だったこともありますか?
村田:家の外に出たらマスコミの方がいることはよくありました。母からは「もし何か聞かれても『自分は分からないんで』と言いなさい」と対応の仕方を教わっていたので、そこまで苦にはならなかったです。小学生のとき、母が事業仕分けをしていたころですが、「こういったことはどういう発言の意図があるんですか」って聞かれたこともあります。「僕はこの件に関しては分からないんで」と言って、見逃してもらいましたけど。
――そこで何か言ったらニュースになってしまっていたかもしれないですね。お母様を尊敬できる部分ってどんなところですか?
村田:一番尊敬できる部分は、自分の芯を持って政治活動を行っているところです。自分はこれがあるから今この活動をしていて、これをしたいっていうことが明確にあるところです。母の仕事に対する熱意は感じてます。
――息子さんから見て、蓮舫さんが世間から誤解されていると感じることはありますか?
村田:世間に受け取られる印象は僕が何を言っても覆らないと思うので、あまりとやかく言うつもりはないですけど、本当に日本のことを考えて活動していますし、家族に対してもすごい愛情を持って接してくれている人なので、僕はすごく大好きですね。
――現在、アイドル活動をされていますが、そもそもアイドルになったのはなぜですか?
村田:高校時代にイギリスに留学していたんですけど、帰国して大学に行って勉強しようかなと思っていたときに、友達から「バイト感覚で始めてみない?」と誘われて断れなくて。「じゃあ、ちょっとね」と始めたら意外と面白くて。よく考えてみたら、小さい頃から嵐の櫻井翔さんがすごく好きだったので、別に嫌いなジャンルじゃなかったんだなって。半年ぐらいやって「芸能活動って楽しいな」と思ってアイドルになりましたね。
――どんなところが楽しいですか?
村田:当時はコロナもなかったので、ステージでパフォーマンスをして、それに対してファンの子たちが喜んでくれる顔を見るのがすごく楽しいですね。いま40人のグループでやっていますけど、メンズだと40人のグループって今までないので、誰もやっていないことをやるのはやりがいがありますし、同じ夢を持つ仲間と一緒に活動していてすごく楽しいですね。
――芸能活動についてはお母様から何か言われますか?
村田:もちろん応援してくれています。テレビに出れば全部録画して見てくれますし、「番組見たよ、すごく良かったよ、次も頑張ってね」と言われます。ライブにも来てくれます。
――村田さんはあの宣言動画のあと、蓮舫さんとは違ったかたちで政治に関することを発信しようと、ご自身のYouTubeチャンネルで、渋谷にいる若者100人に政治のことを聞いたり、政治に関することを発信していますね。
村田:僕が政治に対して全く理解がなかったので、蓮舫の息子じゃない人たちってどれくらい政治に興味があるのかなと思って、カメラとマイクを持って渋谷で聞いてきました。
――若者の投票率が低いですよね。
村田:選挙は権利なので強制するものではないですけど、若者たちの1票で、もっともっと住みやすい社会になると思いますし、今の政党はどこも「票になる」高齢者への政策ばかりなので、そうなっているのは自分たちにも責任があるんだということを少しでも分かってもらえれば、選挙に行こうという気持ちになるかもしれないので。
――村田さん自身はどうしてそう思ったんですか。
村田:選挙の公約を見ると「これ全部高齢者向けやん」って思ったり、少子高齢化で若者の(社会保障費などの)負担が大きくなっているのは何でだろうと勉強してみたら、若者が選挙に行かないから、票になる人たちに向けての政策を出すのは当然だよなと感じたりして。若者の考え方が変わって投票するようになれば、政治家の方々も「若者も票になるな、じゃあこの政策もしないとな」となると思うので、そういったことから進められればと思っています。
――いま24歳ということで、来年選挙に立候補できる年齢になりますが。
村田:そうですね。別に今は政治家になりたいとは考えてなくて、政治家じゃなくてもできる活動はたくさんあるので。アイドルの活動は楽しいですし、若いファンの子たちとも触れ合う時間がすごく多いので、若者の考え方を変える方法は政治家だけじゃない、むしろ今YouTubeで活動して、政党に縛られることなくやるほうが楽しいです。
――ファンから「選挙に対する考え方とか変わりました」といった声はありますか。
村田:ありがたいことにすごくあります。ファンの子たちから「琳君のおかげで政治を知る機会になった」とか「選挙に行ってみようと思う」とか意外と僕をきっかけにして関心を持ってくれる子が多いです。やっぱりきっかけが大事だなと思いました。そう考えると、義務教育でもっと選挙や政治について触れてくれたら、日本はもっとよくなるのにと個人的には思いますね。
――あの決別の動画から半年以上経って、アイデンティティーは見つかりましたか?
村田:何者にも縛られることなく政治を勉強して、どういったことをすれば若い世代の人が政治に興味を持ってくれるかということについて、自分自身、満足のいく活動ができているので、こういうことを続けていけば、いつか自分だからこそできることを見つけられると思います。
――最後に選挙に興味のない若者に対して、メッセージをお願いします。
村田:10年後、20年後の苦しい未来は、自分たちが選挙に行くことで変えられることだと思っているので、自分の1票を軽く見ないで、自分の1票で自分たちが住みやすい未来に変えられることを少しでも分かってほしいなと思います。
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