MENU CLOSE

ネットの話題

神社に無数の足跡…「犯人逃走中」ツイートに反応〝泳ぐ金魚みたい〟

御朱印に押す朱肉「30畳、ぜんぶはり替えか……」

藤基神社の社務所の大広間に、無数の足跡が(新潟県村上市=小島盛康さん提供)
藤基神社の社務所の大広間に、無数の足跡が(新潟県村上市=小島盛康さん提供)

目次

薄明るい畳部屋に、不穏な足跡が無数に。「事件発生」と思いきや、ほっこりとする家族の日常が描かれたツイッターが話題を呼んでいます。3歳の長女のいたずらと父親のやさしい目線に、SNS上で「こんな笑える事件だけが世界にあふれたら良いのに」といった声が寄せられています。

【PR】手話ってすごい!小学生のころの原体験から大学生で手話通訳士に合格

「女児による朱肉を使った犯行です」

「事件」は12日朝、新潟県村上市の藤基神社で起きました。小島盛康さん(32)がいつも通りに社務所の大広間に足を運ぶと、畳の異様な赤い模様が目に飛び込んできました。

よく見ると小さな足跡。そして朱肉も転がっています。

小島さんはピンときました。

「新潟県村上市在住の女児(3)による朱肉を使った犯行です。犯人は現在逃走中です」

写真とともに、長女のさとちゃんを「犯人」「逃走中」とツイートにつづりました。実行犯が丸わかりの投稿は瞬く間に拡散し、「いいね」は30万件を超えました。

「かわいい犯人さんの足跡ですね」

「金魚が泳いでいるみたい」

「こんな笑える事件だけが世界にあふれたら良いのになぁ」

温かな書き込みが続きました。「これはおしりぺんぺん案件やわあ」と犯人の行く末を心配する声も。

小島さんは翌朝、改めてツイートしました。

「犯人は無事確保され、反省しているようなので、保護観察処分と致します」

「足跡は家族総出でなんとか消せました」


この投稿には、「犯人ちゃん、無事保護されて良かったです」「幼い子のすることですから、ねぇ」といった反応がありました。

掃除1時間…ところが犯人は「楽しかったよ!」

事件の成り行きを小島さんに取材しました。

小島さんは藤基神社の禰宜(ねぎ)で、宮司の長男。社殿は1849年に建立された総ケヤキ造りで、村上市の指定文化財に指定されています。

事件があった社務所は住居を兼ねており、社殿とは別棟です。さとちゃんがいたずらに使ったのは、御朱印に押すハンコのための特大の朱肉でした。普段はふたをして、社務所の玄関に置いてあるものです。

「犯行」に使われた約20センチ×約14センチの大型の朱肉(小島さん提供)
「犯行」に使われた約20センチ×約14センチの大型の朱肉(小島さん提供)

「大広間の30畳、ぜんぶはり替えか……」。12日朝、現場を目撃した小島さんは頭が真っ白になったといいます。

鮮明な足跡がいくつもあるので、さとちゃんは朱肉に繰り返し足をぺたぺたと付けながら走り回ったようです。

足跡をたどっていくと、さとちゃんは洗面所にいました。

小島さんが「なにしてんの?」と尋ねると、さとちゃんは「ん~? 手を洗っているの」。ひと仕事を終えたような表情で答えました。もちろん、足の裏は真っ赤でした。

「とにかく、畳に染みこむ前にきれいにしないと」。小島さんは大広間にとって返しました。

洗剤で母親たちとごしごし拭き取ること1時間。足跡はほとんど消え、畳のはり替えは免れました。

小島さんたちが1時間かけて足跡を拭き取った社務所の大広間(小島さん提供)
小島さんたちが1時間かけて足跡を拭き取った社務所の大広間(小島さん提供)


さとちゃんはお風呂で手足をきれいにして、大広間に戻ると「楽しかったよ!」と笑顔をみせました。

小島さんが「これ、やったらダメなんだよ」と厳重注意すると、「ごめんなさ~い」。少し、しゅんとなったそうです。

小島さんたちが掃除していると、お風呂で手足を洗い終えたさとちゃんは元気そうに戻ってきた(小島さん提供)
小島さんたちが掃除していると、お風呂で手足を洗い終えたさとちゃんは元気そうに戻ってきた(小島さん提供)

さとちゃんは明るく、よく食べ、よく走り、いたずら好きな子。入浴剤のマネをしたかったのでしょうか。ふりかけをお風呂にぶちまける「犯行」に及んだ過去もあるそうです。

小島さんは「足跡事件の時は少し反省していたけれど、またニコニコで遊び回っています」と語ります。

「コロナ禍で温かい話題が求められているのでしょうか」

小島さんは「こんなに大変な思いをしたから」と、軽い気持ちでツイートしたそうです。投稿した時は畳を拭き終えた後で、実際のところは犯人を「確保済み」でした。

スマホで撮った写真を改めて眺めて、「子どものいたずらって面白いなぁ」と思い返し、事件に見立てた「いたずら気味」の言葉を添えてツイートをしてみたのでした。

SNS上の反響の大きさに、小島さんは「とんでもないことになったという思いです。こんなことは初めて」と驚いています。てんまつを報告しなければと、翌朝に「犯人は無事確保」とツイートしたのでした。

さとちゃんは今も元気いっぱいだそうです(小島さん提供)
さとちゃんは今も元気いっぱいだそうです(小島さん提供)

小島さんは「多くのみなさんに楽しんで頂けたのなら、よかったです。コロナでみなさんの気持ちが落ち込んでいるなか、温かい話題が求められているということでしょうか」と話します。

御朱印用の朱肉は新調するそうです。さとちゃんのものとはいえ、足の裏をぺたぺたと付けた朱肉ではご利益が落ちてしまうかもしれないと。

ただ、SNS上では、こんな声も寄せられています。「可愛らしい足跡型の御朱印を頂きたいところです」。30万人を超える人たちに、いっときの予期せぬ救いをもたらしてくれたのかもしれません。

関連記事

PICKUP PR

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます