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隠せてないところが可愛すぎて悶絶〝禁断の動物〟をクッション化
おちゃめすぎるデザインが大人気の商品です
キツネとタヌキといえば、私たちの生活になじみ深い動物です。これら2種の姿を再現した、リバーシブル仕様のクッションが、SNS上で絶大な人気を集めています。見た目の愛らしさもさることながら、生地をひっくり返したときにわかる「おちゃめすぎる」一面が、人々の心をつかんでいるのです。遊び心満載のデザインが誕生した経緯について、製造元企業を取材しました。(withnews編集部・神戸郁人)
クッションは、雑貨の企画・販売などを行う企業・フェリシモ(神戸市中央区)製です。ともに北海道に生息し、もこもことした体毛が印象的なキタキツネ(高さ約36センチ・幅約28センチ)、エゾタヌキ(高さ約29センチ・幅約27センチ)をモチーフにしています。
表面には、本物そっくりなイラストがプリントされています。どちらも地面に腰を下ろし、正面を見据えるポーズ。体形はぽってりと丸っこく、耳や鼻、前脚の肉球や尻尾が個別のパーツに分かれており、立体的な仕上がりです。
特長は、これだけではありません。背中にファスナーが付属し、持ち手は木の葉型になっています。頭の部分まで引き上げ、生地をひっくり返すと、長方形のクッションに早変わりするのです。
しかし、黄色いキタキツネ版には耳、焦げ茶色のエゾタヌキ版には尻尾が残っており、何とも締まりません。さらに、木の葉型の持ち手が見えることも相まって、ちょっと「変化」が下手で、愛嬌(あいきょう)たっぷりというイメージにあふれています。
「尻尾を隠せていないところが可愛すぎる」「作った人めちゃくちゃ頭いい」。ツイッター上には、しばしば商品画像が投稿され、悶絶(もんぜつ)する人たちの声が引きも切りません。
今回の商品は、フェリシモが展開する雑貨ブランド「YOU+MORE!(ユーモア)」シリーズの一つとして製作されたものです。一体、どのようにして生まれたデザインなのでしょうか? 担当者に話を聞きました。
国内のキツネとタヌキは、大きく分けて本土で暮らす種と、北海道に棲(す)む亜種の二つが存在します。このうち後者の方が、より冬毛が分厚く丸く見えるため、クッションで表現するのに最適であると判断したそうです。
「YOU+MORE!」シリーズには、アザラシなどの姿を再現したクッションもあります。表情を豊かにするため、実物の個体の写真でなく、画像を参考に描き下ろしたイラストを、そのままあしらっているといいます。今回の商品にも、その方法を応用しました。
そして、気になるのが「変化」機能についてです。発案の背景を、担当者は次のように語ります。
「まだあまりクッション化されていない、かつ人気がある動物として、キツネとタヌキを選びました。ただ、それだけではインパクトが弱い。物語の中で『化ける』ことで有名なので、『変化するけれど、一部失敗してしまう』というおちゃめさを演出しました」
さらに、触り心地にもこだわりました。表面には、もちもち、かつふわっとした感触を兼ね備えたソフトボアを使用。また内側の生地をひっくり返しやすくするため、中身の素材には綿ではなく、粒子が容易に動くパウダービーズを採用しているそうです。
半年ほどの開発期間を経て、2019年11月に発売すると、「YOU+MORE!」の通販サイトに注文が殺到しました。20年12月末現在で3カ月待ちの状態で、発送時期は最短でも2021年3月になるといいます。
担当者は「お待たせしてしまい申し訳ない」とおわびしつつ、商品に興味を持っている人々に対し、こうコメントしました。
「キツネとタヌキは、既に様々なコンテンツに採用されているので、どんな反応がくるかと心配していました。それだけに、ファンの皆様に受け入れて頂けて、うれしく思います」
「おすすめの使い方は、四角いクッションの状態にしておいて、お客さんに『これは何?』と突っ込まれたら、「実はね……」と動物の形に戻す、というもの。ぜひ、驚かせてみて頂きたいですね」
クッションの値段は、キツネ・タヌキとも4180円(税込み)。「YOU+MORE!」公式サイトで購入できます。
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