連載
人生初の大借金、テンション上がる!さらに天使も舞い降りた
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春からずっと取り組んできた、新しいオンライン書店の準備。
ベンチャーキャピタルからの投資が難しいと判断した私は、作戦変更、銀行からお金を借りるの巻!に突入しました。
生まれて初めての借金。大丈夫か自分、返せるのか自分……。
心配はありながらも最初に思いついたことは、借りられるだけ借りたい!でした。
諦めの悪い私は、自分のサービスに対しての妙な期待感を止められなかったからです。
お金の借り先は、起業家の知り合いなどからの話も参考に、創業時の支援が手厚く借りやすい日本政策金融公庫にしました。必要書類を受け取り記入すると、あっという間に手続き完了。
日本政策金融公庫では現在、創業融資の他に事業持続のための相談も増えているそうで、面談までの日程は手続きから一カ月程度かかりました。
待ち時間は長かったけれど、手続き自体はかなりラフでびっくり。人生初借金の第一歩目に、半沢直樹の世界観は1ミリも交わってきませんでした。
緊張して迎えた面談当日。
オンラインではなく対面でしたが、担当者はマスクをしているので一度も表情を確認できず、会話がとにかく難しかったです。さらにはアクリル板越しなので、PCの画面や資料を見せるのにも一苦労。
頷きながら話はちゃんと聞いてくれたけれど、一度も見られなかった担当者さんの笑顔。
「終わった、私の書店主の夢は終わった……」と面談直後は絶望しました。
手応えゼロでもやもやした時間を過ごしていると、その後も電話やメールでやりとりが続き、面談からほどなくして借り入れが決定。飛び跳ねました。
どうやら融資には、担当者さんの笑顔は全く関係ないようです。
融資が決定し一安心していたところ、とどめにもう一つ書類が届きました。銀行に印鑑をもらって提出する書類です。
これに関しては、銀行に書類を持って行けばすぐに処理してくれるので秒殺でした。例によってかなり淡々としていましたが、金融機関において「笑顔と結果には相関関係がない」ことを知った今、私もだいぶ落ち着いて窓口に行けるようになりました、笑。
2020年8月下旬。
最高気温35度の暑い暑い真夏日。
恐る恐る銀行で記帳をすると、無事入金を確認。今までの人生の中で圧倒的に一番大きな振込額を前に、ものすごくテンション上がりました。借金ってもっと心持ちの重い感情を想像していたので、このギャップには自分自身でも驚きです。
書店オープンが現実味を帯びたことはもちろん、これだけのお金を貸せる事業だと判断されたことが、本当に嬉しかったです。
個人で会社へ投資してくれる人を、エンジェル投資家と呼びます。初めて聞いた時は、エンジェル?あだ名?と思いましたが、英語でもAngel Investorと呼ばれる一般的な単語。そして私の元にも、ひっそりとエンジェルが舞い降りてくれました。日常のどこに潜んでいるか分からない存在、エンジェルとはまさに言い得て妙です。
「誰一人投資しなくても、私はこの会社を信じてお金を入れたい」
銀行の借り入れ決定と同じタイミングで、こんな素敵な言葉と共にエンジェルからの振込も完了。
泣いてばかりだった2020年の夏、満身創痍の私を支えたのは間違いなくこの言葉でした。
失業から約4カ月。
書店主になるはずがお金でつまずき、季節は春から夏、そして気づけば初秋でした。
想像以上の遠回りを経て、書店のオープン準備は急ピッチで進んでいきます!
次回、やっと本の話に突入です。
森本萌乃 1990年東京生まれ。株式会社MISSION ROMANTIC代表。
2013年に新卒で広告代理店に入社後、外資とスタートアップへの二度の転職を経験、スタートアップ企業在籍中に自身の会社である株式会社MISSION ROMANTICを2019年創業。パラレルキャリアで起業と会社員を並行し、2020年より自分の事業へ一本化。2020年中に自身の新サービスであるオンライン書店のオープンを目指す。
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