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連載

#5 30歳独身、無職。本屋さんになる。

人生初の大借金、テンション上がる!さらに天使も舞い降りた

栃久保誠撮影
栃久保誠撮影

目次

30歳独身、無職。本屋さんになる。
新型コロナウイルスが私たちの生活に大きな影響を与えた2020年。起業と会社員のパラレルキャリアを歩んでいた森本萌乃さん(30)は、人生初の「無職」を経験しました。「2020年、思ったよりツラくない?」とぶっちゃけながらも、書店主になる夢に向け、現在はオンライン書店のオープンを目指し全力疾走中です。コロナ後に起こったこと、考えたこと、行動に移したこと……。現在進行形の森本さんの今をつづったコラム「30歳独身、無職。本屋さんになる。」。ベンチャーキャピタルからの資金調達を断念した森本さん。次なる一手は――。
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作戦変更。銀行にお金を借りる、の巻

春からずっと取り組んできた、新しいオンライン書店の準備。

ベンチャーキャピタルからの投資が難しいと判断した私は、作戦変更、銀行からお金を借りるの巻!に突入しました。

生まれて初めての借金。大丈夫か自分、返せるのか自分……。
心配はありながらも最初に思いついたことは、借りられるだけ借りたい!でした。
諦めの悪い私は、自分のサービスに対しての妙な期待感を止められなかったからです。

お金の借り先は、起業家の知り合いなどからの話も参考に、創業時の支援が手厚く借りやすい日本政策金融公庫にしました。必要書類を受け取り記入すると、あっという間に手続き完了。

日本政策金融公庫では現在、創業融資の他に事業持続のための相談も増えているそうで、面談までの日程は手続きから一カ月程度かかりました。

待ち時間は長かったけれど、手続き自体はかなりラフでびっくり。人生初借金の第一歩目に、半沢直樹の世界観は1ミリも交わってきませんでした。

日本政策金融公庫は1月末に相談窓口を開設以降、新型コロナ関連の融資申し込みが10月末時点約76万件に達した(写真は今年3月に札幌市であった相談会)
日本政策金融公庫は1月末に相談窓口を開設以降、新型コロナ関連の融資申し込みが10月末時点約76万件に達した(写真は今年3月に札幌市であった相談会) 出典: 朝日新聞

面談で、担当者に気に入ってもらえなくても大丈夫!

緊張して迎えた面談当日。

オンラインではなく対面でしたが、担当者はマスクをしているので一度も表情を確認できず、会話がとにかく難しかったです。さらにはアクリル板越しなので、PCの画面や資料を見せるのにも一苦労。

頷きながら話はちゃんと聞いてくれたけれど、一度も見られなかった担当者さんの笑顔。
「終わった、私の書店主の夢は終わった……」と面談直後は絶望しました。

手応えゼロでもやもやした時間を過ごしていると、その後も電話やメールでやりとりが続き、面談からほどなくして借り入れが決定。飛び跳ねました。

どうやら融資には、担当者さんの笑顔は全く関係ないようです。

難関を越えて……

融資が決定し一安心していたところ、とどめにもう一つ書類が届きました。銀行に印鑑をもらって提出する書類です。

これに関しては、銀行に書類を持って行けばすぐに処理してくれるので秒殺でした。例によってかなり淡々としていましたが、金融機関において「笑顔と結果には相関関係がない」ことを知った今、私もだいぶ落ち着いて窓口に行けるようになりました、笑。

2020年8月下旬。
最高気温35度の暑い暑い真夏日。

恐る恐る銀行で記帳をすると、無事入金を確認。今までの人生の中で圧倒的に一番大きな振込額を前に、ものすごくテンション上がりました。借金ってもっと心持ちの重い感情を想像していたので、このギャップには自分自身でも驚きです。

書店オープンが現実味を帯びたことはもちろん、これだけのお金を貸せる事業だと判断されたことが、本当に嬉しかったです。

栃久保誠撮影
栃久保誠撮影

ついでに天使も現れる

個人で会社へ投資してくれる人を、エンジェル投資家と呼びます。初めて聞いた時は、エンジェル?あだ名?と思いましたが、英語でもAngel Investorと呼ばれる一般的な単語。そして私の元にも、ひっそりとエンジェルが舞い降りてくれました。日常のどこに潜んでいるか分からない存在、エンジェルとはまさに言い得て妙です。

「誰一人投資しなくても、私はこの会社を信じてお金を入れたい」

銀行の借り入れ決定と同じタイミングで、こんな素敵な言葉と共にエンジェルからの振込も完了。
泣いてばかりだった2020年の夏、満身創痍の私を支えたのは間違いなくこの言葉でした。

失業から約4カ月。
書店主になるはずがお金でつまずき、季節は春から夏、そして気づけば初秋でした。
想像以上の遠回りを経て、書店のオープン準備は急ピッチで進んでいきます!

次回、やっと本の話に突入です。

第6話「なぜ今、書店? 不要不急を削ぎ落とした今年、不要不急を取り戻したい」は11月25日公開です。
 

新型コロナウイルスの影響で人生初の「無職」を経験した森本萌乃さん(30)。現在は書店主になることを目指し、オンライン書店のオープンに向けて全力疾走中です。失業からこれまでの日々を綴ります。

森本萌乃 1990年東京生まれ。株式会社MISSION ROMANTIC代表。
2013年に新卒で広告代理店に入社後、外資とスタートアップへの二度の転職を経験、スタートアップ企業在籍中に自身の会社である株式会社MISSION ROMANTICを2019年創業。パラレルキャリアで起業と会社員を並行し、2020年より自分の事業へ一本化。2020年中に自身の新サービスであるオンライン書店のオープンを目指す。

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