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佐々木・奥川だけじゃない!サブローが注目するドラフト「隠し球」
プロ野球ドラフト会議が10月17日に迫りました。今年は岩手・大船渡高の佐々木朗希(ろうき)投手と石川・星稜高の奥川恭伸(やすのぶ)投手の大型右腕二人に注目が集まっています。プロ野球のロッテなどで活躍し、現在は日刊スポーツの評論家として全国のアマ選手をチェックしているサブローさん(43)に、みどころを聞きました。(朝日新聞大阪スポーツ部記者・小俣勇貴)
サブローさんの本名は大村三郎。大阪の名門・PL学園高から1994年秋のドラフト会議でロッテに1位指名を受け、入団しました。ロッテと巨人で22年の現役生活を経て、引退後の2018年から日刊スポーツでアマチュア野球の「編成部長」として、全国を行脚して好選手を探しています。
ずばり、聞いてみました。サブローさんが今年、1位で指名するなら?
「佐々木朗希くんですね。取りに行かないといけないと思う逸材」。やはり、岩手・大船渡高で育った163キロ右腕の評価は高いものでした。
「持っている能力は松坂大輔、マーくん(田中将大)に匹敵する。フォークはナックルに近い感じで、ソフトバンクの千賀滉大投手クラスです。5球団は競合しそう。ここまで大事に育てられてきた選手。しっかり育てられる球団にとってほしい」
プロ球団からの人気が佐々木投手と二分しそうなのが、夏の甲子園で星稜高を準優勝に導いた奥川投手です。150キロを超える速球に、変化球の制球力も抜群で、勝ち星が計算できる投手です。
「顔が(田中)マーくんに似ている。こういうタイプは出世するのかな。完成度なら奥川くん。即戦力でしょう」とサブローさんも高評価していました。
打者では、選抜大会で優勝した愛知・東邦高の石川昂弥(たかや)選手をピックアップしました。夏の甲子園の後に行われた18歳以下のワールドカップで日本代表の4番を務めた右打者です。
「彼は木製バットで大学生の球を簡単に打っていた。ひじを伸ばしきらずに打てるから、内角の速球にも対応できる。大学、社会人も含めて、ダントツ1位。外れ1位ではとれない」。石川の指名を薦めるのは、右の大砲が伸び悩んでいる阪神です。「浜風の吹く甲子園でも、右方向に強く打てる右打者」と認めるからです。
全国のアマチュア選手を見てきたサブローさん。そもそも、日刊スポーツの「編成部長」とはどんな仕事なのでしょうか。
「この子はプロの世界で通用するのかという視点で選手を探してきました」。高校から社会人まで、全国の大会を巡り、面白い選手がいると聞けば、YouTubeでチェックしたり、関係者を通じて情報を集めたり。サブローさんが目を付けた選手が日刊スポーツの記事になることも、しばしばあったそうです。
「注目されている選手だけ扱っても面白くない。注目されていないけど、能力あるんじゃない? って選手を探す旅でした」
サブローさんは選手をみるときに、まず走り方のフォームやキャッチボールの能力を見るそうです。2005年に「つなぎの4番」としてロッテの日本一を支えた右打者だけに、気になるのはバッティングで、スイングをじっくり見るそうです。
「スイングの軌道やタイミングの取り方は簡単に変えられるものではないので。投手を見る時は、『僕がバッターだったら』という感覚で見ます。球場で実際に(バットを構えるポーズで)タイミングを取りながら見ることもありますよ」。
そんな視点で見つけたイチオシの“隠し球”はどの選手なのでしょう。
「旭川大高の持丸泰輝くんですね」。2年連続で甲子園に出場した捕手で、今夏は2番を任された左打者です。
「全然ノーマークだったんです。夏の甲子園でたまたま見たときに『あれっ?』って」。一目ぼれだったようです。「ソフトバンクの中村晃選手とかぶったんですよ。スイング軌道、柔らかさ。これは打てるな、と」。1回戦で、奥川投手がいる星稜高に0―1で惜敗しましたが、持丸選手は奥川投手から1安打を放ちました。
「打てる捕手が評価される時代。面白い存在ですね。うまくいけば何年後かに首位打者争いできるのでは」
持丸選手をどの球団が指名するのか、も注目です。
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