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「きゅーちゃん」がいたから… 最終回を見届けて逝ったハムスター
ハムスターとの思い出をつづった漫画がツイッター上で注目を集めています。
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ハムスターとの思い出をつづった漫画がツイッター上で注目を集めています。
初の連載漫画執筆で疲れ切っていた時に飼い始めたハムスター「きゅーちゃん」。漫画家を辞めようと思った時にきゅーちゃんの体調が悪化し、延命治療のお金を稼ぐために描き続けた結果は――。そんな漫画がツイッター上で注目を集めています。実体験を描いた作者に話を聞きました。
先月18日に、「一人の漫画家と、一匹のハムスターのおはなし」というタイトルとともにツイッター投稿された漫画。
2015年5月、漫画家デビューが決まった女性が連載第1話を描いている場面から始まります。
技術不足もあって毎日17時間描き続けても終わりが見えない状態。腰や腕が痛く、精神的にもプレッシャーを感じていました。
一番つらかったのは「ひとりぼっちでろくな会話もなく、家から出られないこと」でした。
ある晩、道端でハムスターを見つけて保護する夢を見ました。目が覚めて、「お世話もわかるし、打ち切りでフリーターになっても養えるコストだし」と、ペットショップへ。
そこで出会ったのが、手のひらの上で縮こまって震えているハムスターでした。久作くんと名付けて愛称は「きゅーちゃん」に。
連載が終わる日までずっと隣にケージを置いて、しんどさを感じるたびに「原稿料できゅーちゃんのおやつを買うんだ」と執筆に励みました。
それから約2年後の2017年4月、連載完結間近となって編集者に「これが終わったら漫画家辞めます」と伝えました。
動悸や寒気、謎の恐怖感。布団から出られなくなり、心身ともに限界だと感じていました。
しかし、その晩にきゅーちゃんの体調が急変。動物病院に連れて行くと「老衰ですね。延命治療できるかもしれませんが、その……高いですよ」と告げられます。
「やります!」と即答して、ケージを酸素室にするための機器をレンタル。「お金を理由に諦めるのだけは絶対いやだ」と漫画家を続けることを決心しました。
メインキャラが死ぬ場面では、きゅーちゃんと重ね合わせて泣きながら描きました。
なんとか最終回まで見届けてくれたきゅーちゃん。連載2作目も決定し、第1話が完成した日の早朝に息を引き取りました。
きゅーちゃんがいなければ漫画は続けていなかった。そう思いながら、こんな風に振り返ります。
「勝手な 都合のいい思い込みだけれど…… 『描け』ときゅーちゃんが背中を押してくれたような気がした」「2作目はいいことがたくさんあった 辞めなくてよかったと思った」
そして最後は、こう結んでいます。
「私がきゅーちゃんと出会えて幸せになったように、私もきゅーちゃんに幸せをあげられていたらいいなと思う」
この投稿に対して、「きっと幸せだったと思いますよ」「この感動を書き表す言葉を見つけられません」といったコメントが寄せられ、リツイートは1万2千、いいねは3万6千を超えています。
投稿したのは、名古屋在住の漫画家・玉川ユキさん。漫画配信サービスGANMA!の「四谷快談!」でデビュー。現在は「黒の血族」を連載中です。
今回きゅーちゃんを描いた理由については、こう説明します。
「他の作家さんの描かれた動物エッセイを読んでいて、ふいにきゅーちゃんのことを思い出しました。私をフォローしている読者の方に『作品の裏に1匹のハムスターの存在があったことを知ってほしい』と思ったんです」
一人の漫画家と、一匹のハムスターのおはなし 1 pic.twitter.com/C88o5X9v3E
— 玉川ユキ (@tmgwxxxx) 2019年5月18日
昔を振り返りながら、当時の気持ちを形にしたという玉川さん。
命日から2年ほど経って少しゆとりが持てたこともあり、「この機に一度、きちんときゅーちゃんとの思い出を振り返ってみよう」という気持ちもあったそうです。
自分の周りの人に向けて描いたため、予想以上の反響に驚いたといいます。
「この人『黒の血族』の作者だ、といった内容のリプライを多数いただきまして、きゅーちゃんのために描き始めた連載作品が今、多くの人に読まれているんだなあと実感しました。『きゅーちゃんのおかげで頑張れてるよ』と、原稿料でおやつを買って渡してあげたいですね」
寄せられた多くのコメントに対しては、こう話します。
「『自分も昔ペットを飼っていた』『今まさに老い始めているので、一日一日を大切にしようと思った』といった内容が多く、リプライにもたくさんのドラマを垣間見ました。動物に関する悲しいニュースも多い中で、優しい飼い主の元で幸せに暮らしている子たちの存在を知れて、胸が暖かくなる思いでした」
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