話題
完璧を求めすぎないで…まず「小さな最強」を誇ろう 漫画作者に聞く
「完璧」の定義は自分の中にしかない。だから、あなたの「最小限の最強」を誇るところから始めませんか――。
話題
「完璧」の定義は自分の中にしかない。だから、あなたの「最小限の最強」を誇るところから始めませんか――。
「完璧」の定義は自分の中にしかない。だから、あなたの「小さな最強」を誇るところから始めませんか――。そんなメッセージが込められた漫画が、ツイッター上で注目を集めています。作者に話を聞きました。
4月1日にツイッター投稿された4ページの漫画。「完璧」の定義について尋ねられる場面から始まります。
「何においても欠点がない様」と答えた本人は、両手でたくさんの荷物を抱えています。
仕事、つきあい、気づかい、成績、忍耐、真面目、努力……。そう書かれた荷物の重さに耐えきれず、落としてしまいます。
すると、今度はこんな声が聞こえてきます。
「完璧の定義は自分の中にしかない ゆえに高く積み上げる人ほど 崩れた時に自分を嫌いになりやすい」
そして、アドバイスが続きます。
「自分で安定して持てる量を持ってみなさい そうそう 少しでいいからね」
そう言われて手に持ったのは「あいさつ」と「笑顔」の2つ。すると、また声が聞こえてきます。
「『たったこれだけしかできない』じゃないですからね それはあなたにとっての『最強』なんです 荷物は少しずつ増やせます」
最後は、こんな言葉で結ばれています。
「今はまだ あなたの最小限の最強を誇りなさい」
完璧になりたい人へ。 pic.twitter.com/bulC7HHBGV
— 夏ノ瀬 いの🦍書籍発売中「もう頑張れない」(以下略) (@stylish_gorilla) 2019年4月1日
この漫画に対して、「こういうことを言葉や絵にしてくれるのが嬉しい」「最小限の最強って言葉すごく好きです」といったコメントが寄せられ、リツイートは9万、いいねは28万を超えています。
描いたのは、Web漫画家の夏ノ瀬いのさん。
専門学校を中退した自分に絶望し、追い詰められた体験をもとにした漫画『「もう頑張れない」って言ったって、君の価値は下がったりしない』(KADOKAWA)が発売されたばかりです。
今回ツイッターで話題になった漫画に込めた思いについて、詳しく話を聞きました。
――この漫画を描こうと思ったきっかけは
4月から新しい生活が始まり、いろいろ肩に力が入ってしまう時期ですので、そんな方たちに「そんなに気張らなくて大丈夫ですよ」というエールを送りたくて描きました。
また、「完璧」という荷物を落として放心状態の人にも、なにか届けばいいなと思いました。
【拡散希望】
— 夏ノ瀬 いの🦍書籍発売中「もう頑張れない」(以下略) (@stylish_gorilla) 2019年2月8日
「もう頑張れない」状況になったおかげで、ひとつ夢が叶いました。
KADOKAWA出版社さまから
2/21に書籍が発売されます。
Amazonや書店での予約は、本日より始まっております。
日頃から応援してくださる方々のおかげですありがとうございます!!https://t.co/Eosp7rXapu pic.twitter.com/lDF37X18vy
――描きながら自身のことも思い浮かべたのでしょうか
私自身、4月や新学期とかに関わらず「完璧でありたい」と常に思ってしまうたちでして。
自信を持って「完璧だ!」と思えた瞬間は1ミリもないのに、備え付けられてる強迫観念のおかげで、なかなか治りません。ある意味、この漫画は自分に言い聞かせています。
「完璧」という強迫観念を持ってる人を励ましたいはずなのに、どういう言い方をしても自分に返ってきて……。
ブーメラン状態でどう表現するか悩みましたが、ブーメランのまま描きました。自分も変わっていきたいです。
「神はーーーー乗り越えられる試練しか与えない」 pic.twitter.com/HPlg2gMzjX
— 夏ノ瀬 いの🦍書籍発売中「もう頑張れない」(以下略) (@stylish_gorilla) 2018年8月8日
――作中に登場する「完璧」「最強」の定義は、普段から意識していますか
そうですね。私が「とても良い」と思った出来のものも、他人から見ればそうでもないこともありますし、その逆もあります。
完璧も、人それぞれ違う価値観で成り立ってますし、誰かの得意は誰かの苦手です。
「当たり前」と思うものだって、突き詰めれば才能で、最強だと思ってます。
――この漫画を通じて伝えたかった思いは
理想を高く持てば持つほど、課題をクリアしたとしても満足いかず、更に上をと、ずっと苦しいままです。自分が自分に求めるハードルを、下げてあげるのも時には大事ですよ、と伝えたかったです。
――新入学の人や新社会人に向けてアドバイスがあれば
アレもコレも!と張り切るのはいいことなので否定はしないのですが、もし上手くいかないことが出てきてもそれは次に回して、出来たこと・出来ることから褒めてのばしてあげましょ!? そっちの方がずっと生きやすいですよ!
――多くの反響が寄せられていることについては
「救われた」「心が軽くなった」という言葉が多く、そう思ってもらえるような表現ができて良かったな~と。
それと同時に「そんな簡単じゃない」「完璧主義者は解けない呪いです」などという声もあり、「わかる」と激しく同意してしまいました。
私を含め、そういった方々も少しずつ肩の力を抜けたらいいな、と思いました。
こういう話が好き!と言ってくださる方もいますが、もちろんそうじゃない方もいます。だからといって自分の感性を疑ったりしないで欲しいです。いろんな意見があって当然です。
いいなと思ってくださった方には、私が出版させて頂いた本『「もう頑張れない」って言ったって、君の価値は下がったりしない』を手に取ってみてほしいです。きっと楽しんで頂ける内容だと思います。
1/60枚