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卒業する妹「私、透明人間じゃなかったんだ」 キングジムのつぶやき

卒業を発表した“妹”。キングジム公式ツイッターの担当者の1人でした
卒業を発表した“妹”。キングジム公式ツイッターの担当者の1人でした

目次

 今月8日、キングジム公式ツイッターアカウントの担当者の1人が「卒業」を発表しました。“妹”の愛称で親しまれた女性で、退職して新たな道に進みます。当日に手書きでしたためた1200字を超える手紙や、妹としての5年半について、詳しく話を聞きました。

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“姉”と“妹”が担当


 ツイッターの企業アカウントの中でも、抜群の知名度を誇るキングジム。2010年に開設され、現在のフォロワー数は32万を超えています。

 このアカウントを主に担当しているのが“姉”と“妹”の2人(本当の姉妹ではありません)。今月末をもって退職するのは妹です。

 8日9時半すぎ、妹がこんなつぶやきを投稿しました。

 「【お知らせ】私、@kingjim(妹)は、本日をもちましてキングジム公式Twitter中の人を卒業いたします」
 「これまでキングジムで仕事を続けてきましたが、少し前から新しくやってみたいことができました。それを叶える準備が整ったので、この度キングジムを卒業します。それに伴ってTwitterからも卒業することになりました」
 「久しぶりの投稿が卒業発表になってしまってすみません。ほんとに直前までどうやって皆さんにお伝えするか、とても悩みました。でも、もうこのホームに戻ってくることはできないので…… 最後に皆さんときちんとお話ししたく、今日1日時間をいただきました」

手紙「フォロワーの皆さまへ」


 これまで交流のあった企業アカウントから驚きの声が上がるなか、それぞれに返信しながら、思い出を振り返る投稿を続けました。

 その日の18時半すぎ、「フォロワーの皆さまへ」と題して、便箋に手書きした3枚の文章を画像として投稿。

 そこには、ツイッターを担当することになった経緯や、もともと理系専攻で人と関わるのが得意ではなかったこと、メイン担当になる前日は不安でなかなか眠れなかったこと、などがつづられています。

 「私自身は特別な能力やセンスを持っているわけでもなく、本当にしがないちっぽけな人間です」
 「企業の看板があったからこそ、こんなにたくさんの方とつながることができました。だからこそ、私は今、この時代に、このアカウントで、皆さんと同じ時間を共有できたことを誇りに思います」

 文末は、キングジムへの変わらぬ応援のお願いと、これまでの感謝の言葉で結ばれています。

「フォロワーの皆さまへ」と題した手書きの文章
「フォロワーの皆さまへ」と題した手書きの文章 出典: キングジムのツイッター

妹に聞きました


 リツイートが1万1千、いいねが4万4千を超えているこの投稿。

 「漫画の最終回みたいに明るく終わるネタを仕込んでいたのですが、みなさんからの熱いコメントを読んで、急きょ手書きしたんです」と彼女は言います。

 卒業を発表したこの日は、朝から夕方までずっと自席に座ってツイートに専念。事前にペットボトルの飲み物3本、軽食、ティッシュを用意してひとつひとつのコメントに目を通しました。

 2013年10月に「妹」としてキングジムアカウントに登場。2016年から2017年にかけてメインで担当しましたが、昨年は別の業務もあったため、数えるほどしかツイートしていません。

 「忘れられてしかるべき存在だったのに、卒業を発表したら多くの方々が妹を認識してくれていて、メッセージをいただきました。『私、透明人間じゃなかったんだ』って思えました」

 姉が育ててきたキングジムというアカウントを扱うにあたって、フォロワーの期待を裏切らない「影武者」としての役割に徹してきた5年半。褒められても「これは私への評価じゃない。アカウントへの評価だ」と意識し続けてきました。

同僚が作ってくれたというマスク
同僚が作ってくれたというマスク

いまの気持ち


 そんな彼女にとっての思い出が、他の企業アカウントとの交流です。

 ツイッター空間だけでなく、シャープ、タニタ、セガ、キングジムの担当者たちと「タニタ式どうでしょう」と題して、弾丸旅行を決行したこともありました。

 「ビジネスで正面からお話を持って行っても実現しないことが、ツイッターの交流を通じて実現したこともありました。いろんな方に会えて、まるで社会科見学みたいでした」

 今月末で退職した後は、別の企業で再び広報を担当するそうです。

 現在の気持ちを尋ねると、こんな答えが返ってきました。

 「いただいたコメントは、その日の夜中だけでなく土日も何度も読んでジワッときました。これまで生きてきて、こんなに応援され、『ありがとう』と言ってもらったことはありません。これから何かあったら何度でも読み返します。『中の人』でよかった。みなさま、ありがとうございました」

姉からの贈る言葉


 妹の卒業を受けて12日、キングジムのアカウントで姉がこんなつぶやきを投稿しました。妹への贈る言葉です。

 私には尊敬する上司がいます。

 挫折したときに「人生はマラソンだ、結果を急ぐな」と励まされ、ずっと私を支えています。

 上司は他界しましたが、(妹)に今度は私からこの言葉を贈ります。

 これまでありがとう。

 新天地でも自分らしく。

 また、別れを快く見まもってくれた皆さんもありがとうございました。

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