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「鬼平犯科帳」が少女漫画に? ラノベ、BL…何のため?出版社に聞く
「鬼平犯科帳」のポスターが、ネット上で注目を集めています。
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「鬼平犯科帳」のポスターが、ネット上で注目を集めています。
池波正太郎の小説を原作とする劇画「鬼平犯科帳」(著者=さいとう・たかを)。そんな人気作品のために制作された6種類のポスターが、ネット上で注目を集めています。少女マンガ、ライトノベル(ラノベ)、ボーイズラブ(BL)など、これまでのイメージを覆すようなモチーフばかりが用いられています。いったい何のために? 出版元であるリイド社に聞きました。
鬼平犯科帳の舞台は江戸時代。盗賊や放火犯の取り締まりにあたった組織「火付盗賊改方」の長官で、盗賊らから「鬼平」と恐れられた長谷川平蔵が主人公です。
鬼平と部下の与力や同心たち、元盗賊の密偵たちが、極悪非道な盗賊を相手に大捕物を繰り広げる人情活劇が描かれています。
そんな作品のイメージを覆すかのようなポスターが先日発表され、話題になっています。
少女漫画の表紙をイメージしたポスターでは、帯の部分にこんなメッセージが書かれています。
「少女マンガ読者のみなさまへ。超絶エリート、しかも妻ラブ。お江戸のスパダリに萌えませんか」(※スパダリ=スーパーダーリンの略)
ラノベ風の表紙は「おにへい!」とタイトルが平仮名で書かれ、こんな文章が添えてあります。
「俺の剣がチートすぎて今日もお江戸が平和な件」
これらのポスターがツイッター上で紹介されると、「ちゃんとツボを突いてきますね」「グルメジャンルがない!」「ぶっちゃけ何も間違ってないと思う」といったコメントが寄せられています。
また、ポスターだけでなく、YouTubeでは「劇画『鬼平犯科帳』25周年記念動画『鬼へぇ』」も公開。思わず「へぇ!」と感心する鬼平にまつわる江戸うんちくを集めた内容です。
いずれも連載25周年に関連した企画のようですが、どういった狙いがあるのか? リイド社出版企画部の担当者に話を聞きました。
――制作のきっかけは
劇画「鬼平犯科帳」連載25周年を記念した企画として、従来の高齢層読者以外に広める企画を広告会社に依頼し、動画とポスターの制作に至りました。もともとは動画がメインで、ポスターはサブです。
――ポスターは全部で何種類ありますか
少女マンガ風・ラノベ風・BL風・ハリウッド映画風の4種類と、地域限定の池袋版・秋葉原版の2種類。あわせて6種類を制作しました。
――企画の狙いは
時代劇というものに興味がない、さいとう先生の「ゴルゴ13」すらぼんやり知っているだけ、そんな読者層の開拓の一環として制作されました。
それぞれデザインの通り、少女マンガ読者、ラノベ読者、BL読者に向けられています。ハリウッド映画風が最も劇画「鬼平犯科帳」の従来の雰囲気に近いものがありますが、池袋版、秋葉原版の地域限定も含め、いずれもこれまでの読者層とは正反対の、時代劇などに興味のない読者層に、劇画のみならず小説の「鬼平犯科帳」へ目を向けてもらう意図が込められています。
――心がけた点は
これまで、作品のイメージを壊さないように注意を払ってきました。そんな大事にしてきたイメージを逆に破壊し尽くすような企画ですので、せめて従来の読者に失望されるような方向性にはならないよう注意しました。
――ネット上で話題になっていることについては
企画が図に当たり、非常にうれしく思っております。未開拓読者層が劇画「鬼平犯科帳」に少しでも興味を持ってくれれば、この企画は大成功です。
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