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アメリカ「入国禁止令」ほぼ実現していた!トランプ騒動の「その後」
世界で去年あったあのニュース、今どうなってるの? アメリカのトランプ大統領が就任してすぐに命令し、大きな反発が巻き起こったイスラム圏の国民に対する「入国禁止令」は、曲折を経て実現に向かっています。アメリカが抜けて「水の泡」になったTPPの今は……。(朝日新聞国際報道部・神田大介)
2017年1月20日、アメリカ大統領に就任したトランプ氏。そのわずか3日後の23日、TPP(環太平洋経済連携協定)から離脱しました。
TPPは日本、アメリカ、カナダ、メキシコ、オーストラリア、ニュージーランド、チリ、ペルー、マレーシア、ベトナム、シンガポール、ブルネイの12カ国が経済で幅広く手を結ぶ協定で、実現すれば国内総生産(GDP)で世界の約4割、人口8億人の巨大経済圏が実現するはずでした。
日本は2013年から交渉に参加。各国が複雑にからみあう利害を調整し、発効を目前にしていましたが、アメリカが抜けたことで水の泡になってしまいました。
ただ、2017年11月に、アメリカを除く11カ国でTPPを結び直すことで大筋合意。GDPの合計で世界の約14%とスケールはだいぶ小さくなりましたが、日本は2018年の早い時期に正式な合意を目指しています。ただ、11カ国で日本に次ぐ経済規模のカナダが難色を示していて、10カ国での協定になるかもしれないということです。
続いてトランプ氏は2017年1月27日、シリアなど中東・アフリカの7カ国の国民に対し、アメリカへの入国をしばらく制限すると決めました。突然の決定に空港は大混乱し、各地で反対デモが起きました。
これに対し、裁判所は「憲法違反の疑いがある」と効果を差し止め。トランプ氏は内容を少し変えた命令を出し、また裁判所が差し止め……という動きを繰り返し、ついに12月、連邦最高裁判所が「裁判所による差し止めは無効」と判断。現在、イスラム圏の6カ国と北朝鮮、ベネズエラの国民は入国が制限されています。
憲法に違反しているかどうかはまだ判断が出ていませんが、2018年には「違反していない」という結論が出るのではないか、とみられています。
このほかにもトランプ氏は地球温暖化に取り組むパリ協定から脱退し、エルサレムをイスラエルの首都と認定するなど、国際社会をかき回し続けています。
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