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【1分で超解説】民進党が抱える「三つの残念」 伸び悩む理由は?
野党第1党(最大野党)の民進党の新しい代表を決める選挙が9月1日に行われます。民主党から昨年、党名を変えて2回目の代表選。一度は選挙による政権交代を実現しながら、野党に転じて以降は支持率も上がらず、国会議員の離党者が相次いでいます。民進党が伸び悩む「三つの残念」を探ります。(朝日新聞政治部デスク・松村愛)
民主党時代の2009年に政権をとった民進党ですが、「言ったことがきちんと実行されない」ケースが相次ぎ支持を失いました。
まず「無駄遣いの削減」。マニフェストで掲げた仕事を実現するための財源16.8兆円を確保すると公約しましたが、実現しませんでした。
沖縄の基地問題でもつまずきます。鳩山由紀夫首相が「米軍普天間飛行場の沖縄県外移設」と約束しながら、代替地を見つけることができませんでした。
国会で対案を出すなど政権担当能力をアピールしていますが、いまだにそうした民主党政権時代の「失敗」のイメージを払拭(ふっしょく)できていません。
「まとまりがない」というイメージも民進党につきまとっています。
労働組合から保守系までさまざまな理念を持つ議員が集まり、「寄せ集め」とも言われてきた民進党。
憲法改正、集団的自衛権、原発ゼロなど、党としての方向性を決めようとすると、意見が分散し、内部がごたごた混乱していると見られてきました。
物事の決め方、そして決めたことには全員一致して従う、という組織統治が欠けている点も、信頼を取り戻せていない理由でしょう。
一人の党首のもとに結束していけないのも、信頼を回復できていない一因です。
「選挙の顔に」と期待されて昨年8月に代表に就いた蓮舫氏は、一度の国政選挙も経ないまま、今年7月の東京都議選で惨敗後に党内をまとめきれず、今年8月に辞任。9月1日に民進党代表選が行われます。
2012年に民進党の前身の民主党が政権の座から転落して以降、代表選はこれで4度目。自民党に代わってふたたび政権を担う能力があることを示すような状況にはありませんでした。
いまの衆院議員の任期が切れる来年末までに行われる次の衆院選。安倍政権の支持率が低迷するなか、自民党に代わって政権を担う能力があることを示し、選挙で「非自民」の票を受け止める「受け皿」になれるのかが問われています。
政権交代を目指す中で、現在の政権を担っている与党との違いを打ち出せていない悩みもあります。
民進党のなかには、憲法や安全保障などで安倍首相と理念を同じくする議員が少なからずいます。
アベノミクス、安全保障、消費増税、原発再稼働。一つひとつの政策に、民進党ならこういう選択肢をとる、という新しいマニフェストがない限り、野党への信頼感はつくりづらいのではないでしょうか。
「1強」の時代が長く続いている安倍政権ですが、自民党が都議会選での敗退するなど、与党に対する批判の声が大きくなっているのも事実です。
中長期的な展望を持って、自民党政権との対立軸をつくり、野党勢力を結集していけるのか。民進党の正念場です。