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IT・科学

DeNAの謝罪会見、憤る被害者「賠償請求少なすぎ」 賠償の行方は?

会見で謝罪するDeNAの守安功社長(中央)と南場智子会長(右)
会見で謝罪するDeNAの守安功社長(中央)と南場智子会長(右)

目次

 運営するキュレーションサイト(まとめサイト)で無断転載などが社会問題化し、10サイトを公開停止しているIT大手・DeNAが13日、記者会見を開きました。DeNAは著作権侵害の被害申告が84件寄せられていることを明らかにしたうえで、賠償の個別相談に応じていく姿勢を示しました。注目されたDeNAの会見。盗用された被害者はどのように見ていたのでしょうか? 「本当に被害者の方を向いているのか」。「法的リスクを甘く見過ぎでは」。会見への感想を聞きました。

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賠償方針、がらりと転換

 この日までに、弁護士4人でつくる第三者委員会が277ページにわたる原因究明の「調査報告書」をDeNAに提出しました。

 調査報告書では10サイトで、無断転載の可能性がある画像が最大74万7643件、記事が最大約2万件あると指摘されました。

 ふくらんだ被害件数に、記者会見したDeNAの守安功社長は「なるべく早く(被害者が)納得いく解決をめざしたい」と説明。被害者と個別に相談をして、賠償する意向を示しました。

277ページある調査報告書
277ページある調査報告書

 社会問題化する前、DeNAは自社が「まとめサイト」を運営しているにすぎず、一般利用者の投稿記事の責任は負わないと主張してきました。

 調査報告書ではさらに、社内のインターン生が書いた記事にクレームが来ても、社内でつくった記事であることを明かさず、責任を回避していた実態も明らかになりました。

 社会問題化を受け、DeNAはこうした姿勢を転換せざるを得ない状況に追い込まれました。今回の会見では守安社長は「誰が書いたかに関わらず、ご迷惑をおかけしたので(被害者への賠償を)考えている」と表明しました。

 ただ、賠償の時期については「個別に交渉していく」と述べるにとどめました。

「MERY」のトップページ。現在は公開停止中
「MERY」のトップページ。現在は公開停止中

賠償求める人「少なすぎる」

 旅先の写真をDeNA運営の「MERY」に無断転載された20代女性は、YouTubeでの会見中継を見て「賠償請求する人の少なさに驚いた」といいます。

 万単位の権利侵害の疑いが指摘されたのに、被害申告は84件だけ。

 「私も社会問題化前、企業に被害を訴えたら名誉毀損に問われるのではと思っていた。被害を言い出せない人が、まだ大勢いるのでは」と感じたといいます。

 そのうえで「社会問題化した12月から待たされているので、相談を早く進めたいというのが一番。具体的なメドを提示して頂きたい」と話します。

会見する守安功社長
会見する守安功社長

 化粧品ブログの画像をMERYに転載され、DeNAから謝罪を受けた30代の会社員女性は「今回、記者会見を行うことのお知らせもなかった。本当に被害者の方を向いているのか疑問に感じた」と話します。

 「謝罪が社会に向けたアピールに終わらせて欲しくない。私たちが写真1枚撮るのに込めている、気持ちや労力を考えた対応をして欲しい」と話します。

 DeNAが運営する「Find Travel」に無断転載された30代の写真家男性は「まとめサイトの法的リスクを甘く見過ぎではないか」と不満を語ります。

 調査報告書にはDeNAがまとめサイトを傘下に収める際、社内で著作権侵害のリスクが議論されたと書かれていました。「リスクの存在が分かっていたのに、買収後になぜビジネスモデルの見直しをしなかったのか。疑問は解けていません」

 DeNAはまとめサイト再開について、「全くの白紙」と強調しました。南場智子会長は「同じような形で再開することはありません。再開するにしても、キュレーションという言葉は使わないでしょう」と語り、後悔の色をにじませました。

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