閉

閉

これフカボリしてほしい

リクエストする

閉

2016年12月13日

保育園、反対するのはどんな人? 近所のお年寄り…じゃない調査結果

  • 428704

認可保育所ができる予定だった場所。道路が狭くて危険などとして近隣住民が反対していた=武蔵野市

認可保育所ができる予定だった場所。道路が狭くて危険などとして近隣住民が反対していた=武蔵野市

出典: 朝日新聞

 足りない保育園、でも新設しようとすると地域の住民が反対する――。「反対するのは高齢者」という図式で語られることが少なくありません。でも、そんなイメージを覆す調査結果があります。そもそも反対派は少なく、年齢による偏りもなかったのです。では、どんな人が反対するのか? 騒音問題に詳しい八戸工業大の橋本典久教授(音環境工学)に聞きました。

橋本教授に聞きました

 高齢者や閑静な住宅街に住む人ほど騒音を心配して建設に反対する――。みなさんにはこうしたイメージがあるのではないでしょうか。私もそう思っていました。ところが今年8~10月に実施した騒音の意識調査で、これが覆える結果が出ました。

 調査は東京都と埼玉、千葉、神奈川の3県の様々な地域の一戸建て住宅1927戸が対象で、約18%の341戸が答えてくれました。「あなたの家の隣に保育園建設計画が起こったらどうしますか」との質問に「強く反対する」「反対する」と答えたのは計1割。そもそも反対は多くはなく、高齢者ほど反対するとの相関関係は見られませんでした。住宅街の住民が、商業・工業地域の住民より反対が多いこともなかった。

八戸工業大の橋本典久教授

八戸工業大の橋本典久教授

「不安を感じる人」が反対に

 ではどういう人が反対するのか。「強く反対」と答えた人の全員、「反対」と答えた人の9割超が、「自宅の横に保育園ができると騒音に対する不安を感じるか」との質問に「感じる」と回答しました。

 騒音への不安を感じても、子どもが大きな声を出して遊ぶことは心身の発達に大切だとの考えなどから反対しない人も少なからずいますが、不安を感じている人ほど建設に反対する割合が高いといえる結果でした。このため、保育園建設問題では、騒音への不安を和らげることがとても大切だといえます。

反対する人は「騒音への不安」が大きな理由だった

反対する人は「騒音への不安」が大きな理由だった

出典:https://pixta.jp/

大事なのは客観的データ

 必要なのが、保育園ができると実際にどれぐらいの音が出て、防音壁などの対策でどれぐらい音が減るかといった客観的データです。これがないと、実際より大きな音を住民が想像したり、園側の説明があいまいになったりしてしまいます。

 2015年に東京都と青森県の様々な規模の保育園10カ所の音レベルを測りました。100人の園児が園庭で遊んでいる時、子どもたちの中心から10メートル離れた場所の音は、騒がしい街頭と同じ程度の約74デシベルでした。

八戸工業大・橋本典久教授の「地域社会の騒音問題に関する市民意識調査」(2016年)から

八戸工業大・橋本典久教授の「地域社会の騒音問題に関する市民意識調査」(2016年)から

出典: 朝日新聞

 一方、子どもの声は甲高く、高い音は防音壁の裏にまわり込みにくいので、その効果が高いこともわかりました。データ以上に大切なのが良い人間関係の構築です。人は、好感を持つ人がたてる音はあまり気にならず、嫌いな人やよく知らない人の音は小さくてもうるさく感じることが調査でわかっています。

 園や自治体は早い段階から誠実に対応し、「音が気にならない人間関係」を住民と築いていくことが必要です。不誠実な対応は、住民の「不安」を「怒り」や「敵意」にエスカレートさせる。防音壁で実際の音を小さくしても、住民には変わらずうるさく感じられることがあり、解決はとても難しくなる。

八戸工業大・橋本典久教授の「地域社会の騒音問題に関する市民意識調査」(2016年)から

八戸工業大・橋本典久教授の「地域社会の騒音問題に関する市民意識調査」(2016年)から

出典: 朝日新聞

 もちろん、誠意を尽くしたと思っても解決が難しいケースもあるでしょう。高層マンションの建設は、事業者が住民に説明し、まとまらない時は第三者が加わる紛争調停委員会が和解案を出す条例を作っている自治体がある。保育園建設にも、第三者を入れる仕組みが必要ではないでしょうか。

     ◇

橋本典久教授(はしもとのりひさ) 1951年生まれ。専門は音環境工学。著書に「近所がうるさい!」(ベスト新書)など。

漫画「これだから今の若者は」=作・吉谷光平さん
前へ
漫画「これだから今の若者は」(1)
次へ
出典:作・吉谷光平
1/200
前へ
次へ

あわせて読みたい

藤井四段の自宅で見た「普通すぎる日常」服はお下がり、将棋盤まで…
藤井四段の自宅で見た「普通すぎる日常」服はお下がり、将棋盤まで…
納豆「1万回」混ぜたら予想外の結果に…記念...
納豆「1万回」混ぜたら予想外の結果に…記念...
花火シーズン「DJポリス」の名言に学ぶ護身術 「健康あっての花火」
花火シーズン「DJポリス」の名言に学ぶ護身術 「健康あっての花火」
「まえがき」読み返したら涙が… 理科本の言葉、人生にも当てはまる
「まえがき」読み返したら涙が… 理科本の言葉、人生にも当てはまる
「こどもフジロック」って何だ? ライブ聴け...
「こどもフジロック」って何だ? ライブ聴け...
友人がニセ情報をシェア、8割は指摘せず放置 理由は「面倒だから」
友人がニセ情報をシェア、8割は指摘せず放置 理由は「面倒だから」
「花嫁オークション」は差別?ディズニーに署名活動 東京の対応は…
「花嫁オークション」は差別?ディズニーに署名活動 東京の対応は…
有楽町発世界へ!スタジオアルタ新劇場公演。演出家と出演女優が語る
有楽町発世界へ!スタジオアルタ新劇場公演。演出家と出演女優が語る
PR
世界が注目する港町ダンケルク ノーラン最新作が、いま世界を変える
世界が注目する港町ダンケルク ノーラン最新作が、いま世界を変える
PR
「見た目問題は障害」バケモノと呼ばれた男性の願い 就活で心砕かれ
「見た目問題は障害」バケモノと呼ばれた男性の願い 就活で心砕かれ
「天神祭ギャルみこし」一発芸オーディションが「吉本レベル」だった
「天神祭ギャルみこし」一発芸オーディションが「吉本レベル」だった
グラウンド整備おじさんが語った「夢」 黙...
グラウンド整備おじさんが語った「夢」 黙...

人気

もっと見る