ヤクザって、誰もがその存在を知っているのに、実態はよくわからない人々ですよね。ドラマのヤクザと本物ってどう違うの? 怖いけど、気になる。本人たちには聞けないので、ヤクザに詳しい専門記者に聞いちゃいましょう。(朝日新聞東京社会部記者・原田朱美)
ごくせんVS若者
ご紹介します。
朝日新聞東京社会部の緒方健二記者(57)。
暴力団など組織犯罪と事件の専門記者です。通称「ごくせん」。

迫力ある外見ですが、記者歴30年以上のベテランです。

緒方記者
対する質問役は、大学生ら20歳前後の若者9人。
ヤクザに興味津々です。日頃の素朴な疑問をぶつけてもらいました。


緒方記者

学生

学生

緒方記者
ほかには学校にも行かず、あるいは行けずに非行や犯罪を繰り返している少年たちも。親が「親分のところで鍛え直してください」と頼みこんでくるケースもあるそうです。最近は「楽にカネもうけしたい」と実態を知らずに入ってくる者も。この手の人はすぐに辞めるそうです

学生

緒方記者
1960年代に東映の任俠映画がはやったんですが、鶴田浩二さんってご存じ?

学生

緒方記者

学生

緒方記者
そういう東映映画がまさに「義理と人情」の映画でした。曲がったことは許さない。曲がったことをやる悪い人たちを、クライマックスで高倉健さんが日本刀をもって乗り込んで成敗するっていうね。
任俠映画がはやった頃は、映画を見て「俺もあの世界に入りたい」っちゅうてヤクザに憧れる人も多かった。ところが今は、「義理と人情」でこの世界を生きることはできません。

学生

緒方記者

高学歴でソフトな見た目

学生

緒方記者
たとえばバブル景気の頃は、金融工学とかそっちの専門家がいると聞きました。賢い経済ヤクザと言われるような人は、株取引や金融の世界に精通した若い人たちを取り込んだり、そうした業界に表向き紳士的に接触したりしていました。

学生

緒方記者
私が取材で会うような人は、スーツもピシッと着ているし、一緒に歩いていると、むしろ私のほうがそっちの世界の人に見えちゃいます。
そういうヤクザは、人当たりもすごくソフトです。十分気をつけてくださいね。

学生

緒方記者
とある組の幹部の家に行ったことがあるんですが、それはまあ、すごい家でしたね。あと、九州の指定暴力団の取材をしたこともありますが、彼らが乗ってる車は全部がベンツでした

幹部はつらいよ

学生

緒方記者

学生

緒方記者
出費も多いですしね。例えば自分の配下の組員が逮捕されて刑務所に入ったら、その組員の家族の生活費を出す組織もあります。前に聞いた時は、「月500万は収入がないと、もろもろの差配ができない」って言ってましたね。

学生

緒方記者
山口組が分裂した理由はいろいろ言われていますが、ひとつは上納金とかお金の締め付けが厳しくて耐えられなかったこと、と言われています。

コンクリートをこねこね

学生

緒方記者
ある日、私の携帯電話に知らない番号から電話がかかってきたんです。で、ある港に来いと。行ってみたら、4~5人いましたかね。カラのドラム缶が置いてあって、その横でコンクリートをこねこね練っている人がいるんですよね。


学生

緒方記者
上の方の幹部らしき男が、「おまえが緒方か。うちの若いもんを触ってくれとるようで」と。「なんのことかわかりません」って言うと、「いや、○○ってヤツに○月○日に会ったろう」と。で、その隣では黙々とコンクリをこねてるし。

学生

緒方記者
あれはちょっと怖かったですね。初めてだったので。よくドラマのたぐいでドラム缶にコンクリ詰めにして、とか見たことあると思いますが、まさか本当にね(笑)。
次々と明らかになる衝撃の事実。学生たちの好奇心は、さらに膨らみます。次回は「暴力団の資金源」について迫ります。