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コラム

羽生ファン殺到、名前似ている「弓弦羽神社」 濃厚なフィギュア聖地

名前が似ていることで羽生ファンの聖地になった弓弦羽神社=神戸市東灘区
名前が似ていることで羽生ファンの聖地になった弓弦羽神社=神戸市東灘区 出典: 朝日新聞

目次

 聖地巡礼をするのはアニメファンだけではありません。フィギュアスケートをこよなく愛するスケオタ(フィギュアスケートオタク)も選手ゆかりの地を訪ね歩いています。羽生結弦選手「ゆかり」の神社をはじめ、宮原知子選手や本田真凜選手らを擁する関西にも数多くの聖地があります。ファンの愛があふれる場所を巡ってきました。

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中国からも参拝客

 羽生結弦ファンであれば一度は足を運びたい二つの神社があります。一つ目は、阪急御影駅の南東にある「弓弦羽神社(ゆづるはじんじゃ)」(神戸市東灘区)です。名前が羽生選手と似ていることから、ファンが参拝するようになりました。

「羽生結弦選手の足のケガが早く治りますように!!」
「平昌で二連覇!!」

 境内の絵馬掛けには、ファンの絵馬がぎっしり。羽生選手のイラストが描かれたものも。宮城、埼玉、愛知、鳥取、鹿児島など全国各地から、中国など海外からの参拝客もいました。

 宮司の澤田政泰さんは、「5~6年前からファンの参拝が増えてきて、ソチ五輪でケタ違いに増えました。SNSを通して広がったようです」と話しています。

弓弦羽神社の鳥居と境内の絵馬掛け=神戸市東灘区
弓弦羽神社の鳥居と境内の絵馬掛け=神戸市東灘区

フリーの曲にちなんだ「晴明神社」

 もう一つは、京都市上京区、堀川通沿いにある「晴明神社」です。平安時代の陰陽師「安倍晴明」を祭っています。羽生選手が昨季のフリーで、晴明を主人公とする映画の曲を使用し、話題になりました。

 神社によると、昨年、曲名が発表されてからファンの間で知られようになり、羽生選手自身も参拝したことで注目され、多くのファンが訪れるようになりました。

足腰に御利益、けが回復祈願

 同じ上京区内で、京都市営地下鉄丸太町駅から北へ、京都御苑西側の烏丸通沿いには、足腰の健康などに御利益があるとされる護王神社があります。高橋大輔さんがソチ五輪前にけがを負ったとき、ファンが大挙して訪れ、回復を願いました。

 ここにも羽生選手のけがの回復を願う絵馬がたくさんありました。「左足リスフラン関節靭帯損傷が一日も早く完治し…」と、けがの部位まで詳しく書いている絵馬も。ご祈禱(きとう)したファンもいたそうです。

 ファンの願いが届いたのか、羽生選手は、けがから復帰し、今季初戦のSP(ショートプログラム)で、世界初の4回転ループを成功させました。

護王神社(左)と晴明神社。境内にはたくさんの絵馬が納められていた=京都市上京区
護王神社(左)と晴明神社。境内にはたくさんの絵馬が納められていた=京都市上京区

名門スケート場の跡地には…

 神社と併せて訪れたかったのはリンクです。スケート熱が高まる一方、リンク不足は深刻です。関西でもリンクが閉鎖され、練習環境に苦労した選手もいます。

 京都市伏見区、JR六地蔵駅の近くには、かつて醍醐アイススケートリンクがありました。当時の住所を頼りに跡地を訪ねると、スポーツクラブやホームセンターになっていました。

 このリンクは、2004年四大陸選手権優勝の太田由希奈さんらを輩出した「京都醍醐フィギュアスケートクラブ」のホームリンクで、15年世界選手権銀メダルの宮原知子選手も通っていました。

 しかし、老朽化による設備改修の費用が工面できず、05年に閉鎖。選手たちは各地のリンクを転々としながら練習を続けました。同じ頃、高橋大輔さんや織田信成さんも、大阪府高槻市内のリンクの閉鎖により、練習場所を確保するのに苦労していました。

世界選手権エキシビションで演技する宮原知子選手=2016年4月3日、遠藤啓生撮影
世界選手権エキシビションで演技する宮原知子選手=2016年4月3日、遠藤啓生撮影 出典: 朝日新聞

本田真凜・望結・紗来が羽ばたくリンク

 その選手たちを救ったのが、06年、国内の大学初のスケートリンクとして誕生した関西大学アイスアリーナ(大阪府高槻市)です。通年型で、学内だけではなく、地域や他大学にも開放し、多くの選手が練習の拠点にしました。

 今は、宮原選手に続き、世界ジュニア女王の本田真凜選手、女子で史上7人目のトリプルアクセルを成功させた紀平梨花選手など、次世代を担う選手が次々と育っています。

 今年7月には10周年を迎え、記念エキシビションを開催し、宮原選手や、本田真凜、望結(みゆ)、紗来(さら)の3姉妹らが演技を披露しました。

関西大学のアイスアリーナ10周年記念エキシビションで演技する本田真凜(左)、望結(中央)、紗来の3姉妹の選手=大阪府高槻市
関西大学のアイスアリーナ10周年記念エキシビションで演技する本田真凜(左)、望結(中央)、紗来の3姉妹の選手=大阪府高槻市 出典: 朝日新聞

募金で存続した「りんスポ」

 大阪にはもう一つ、ファンと深いつながりがあるリンクがあります。「りんスポ」の愛称で親しまれている府立臨海スポーツセンター(大阪府高石市)です。

 08年、府の財政難で、老朽化した施設の改修費用のめどがたたず、存続の危機に。

 「耐震化費用3億円の半額が必要」という条件に、利用者らでつくる「支援の会」や高橋さんらが募金活動を開始。多くのファンが協力しました。そして1億5千万円が集まり、13年2月に存続が決定。翌年5月には高橋さんや当時練習拠点にしていた町田さんが感謝の演技を披露しました。

支援に感謝する催しで演技する高橋大輔選手=2014年5月25日、大阪府高石市の臨海スポーツセンター、林敏行撮影
支援に感謝する催しで演技する高橋大輔選手=2014年5月25日、大阪府高石市の臨海スポーツセンター、林敏行撮影 出典: 朝日新聞

被災地を結ぶリンク

 ほかにも、三宮と神戸空港を結ぶポートライナー市民広場駅からすぐのポートアイランドスポーツセンター(神戸市中央区)では、11年の東日本大震災直後からチャリティーの演技会が開催されてきました。

 集まった義援金は被災地支援に使われます。東日本大震災と阪神・淡路大震災の2つの被災地を結ぶリンクになっています。フィギュアスケートクラブもあり、全国で活躍する選手が出てきています。

 関西各地にあるフィギュアスケートゆかりの地では、選手の練習の苦労やファンの愛の大きさを感じることができました。私も神社で、選手が最高の演技ができるように祈願。ファンにとっても本格的なシーズンが始まります。

チャリティー演技会であいさつする羽生結弦、高橋大輔選手ら=2011年4月9日、神戸市中央区、新井義顕撮影
チャリティー演技会であいさつする羽生結弦、高橋大輔選手ら=2011年4月9日、神戸市中央区、新井義顕撮影 出典: 朝日新聞

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