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お金と仕事

ダイバーシティー考えた結果が「カピバラ」って…カルビーCEOの狙い

カルビーの経営陣を前に動じない新入社員の「カピバラ」
カルビーの経営陣を前に動じない新入社員の「カピバラ」

目次

 多様な働き方は企業の経営戦略としても、欠かせない要素になっています。資生堂では、時短勤務の見直しに着手。土日や平日夜も働くよう求める内容は「時代に逆行」「キャリアアップに有効」など議論を呼びました。そんな中、ポテトチップスのカルビーが大胆な施策を打ち出します。報道陣を集めて丸の内のオフィスに現れたのは「カピバラ」。経営陣は「男性も、女性も、動物も、ダイバーシティーをどんどん進めていきたい」と高らかに宣言しました。

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ダイバーシティー、重要な経営戦略に

 ポテトチップスで国内シェア首位のカルビー。実は、社員のダイバーシティー(多様性)を重要な経営戦略としている企業です。

 カルビーは、従業員の約半数にのぼる女性の活躍を進めようと、2010年度に「ダイバーシティー委員会」をつくりました。旗振り役は、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人の社長を経て2009年にカルビーの経営トップに就いた、松本晃会長兼CEOです。

 女性管理職の候補生を対象に、キャリア研修を開催したり、在宅勤務制度を導入したりしています。

カルビーのアンテナショップ=福岡市博多区
カルビーのアンテナショップ=福岡市博多区

働くのは当たり前、その次を考える時代に

 その結果、2010年4月に5.9%だった女性管理職の割合は、2016年4月に22.1%に上昇。2020年までには30%に上げることを目標にしています。

 上場企業のうち、女性活躍推進に優れた企業として経済産業省と東京証券取引所が共同で認定する「なでしこ銘柄」にも3年連続で選ばれました。

 ダイバーシティーをめぐっては、資生堂が子育て中の短時間勤務者に土日や平日夜も働くよう求める見直し策を実施。育児をしながらキャリアを積む働き方をめざすという会社の方針は「資生堂ショック」として注目を集めました。

 出産後も働くのは当たり前。今は、その後もスキルアップをしながら、一線で働き続けられるかを考える時代に入っています。

資生堂の企業内保育所
資生堂の企業内保育所 出典: 朝日新聞

ジョーク?トップは満足げ

 「女性の活躍なしにカルビーの将来はない」

 そう断言するカルビーは4月、ある親子を「採用」しました。カピバラの母娘です。ジョークのように見えるこの取り組み。社員の発案に対して、松本会長兼CEOは満足げに語ります。

 「男性も、女性も、動物も、ダイバーシティーをどんどん進めていきたい」と話し、「カピバラの次はパンダかな」とコメントしました。

「男性も、女性も、動物も、ダイバーシティーをどんどん進めていきたい」と宣言する松本晃会長兼CEO
「男性も、女性も、動物も、ダイバーシティーをどんどん進めていきたい」と宣言する松本晃会長兼CEO

那須町で「在宅勤務」

 トップの意気込み通り、カピバラ母娘の働き方は先進的です。

 同期の社員の入社式が東京のホテルで開かれた4月1日、カピバラの母娘の入社式は那須町で開かれました。社内報でも、同期と同じように写真つきで新入社員として紹介されました。入社後は社内制度を利用して、「那須どうぶつ王国」(栃木県那須町)の「カピバラの森」で「在宅勤務」をしています。

 業務内容は、カルビーの「ポテトチップス のりしお」が10月に発売40周年を迎えることをPRすること。実は、母親の名前が「ソルト(しお)」、昨年11月に生まれた娘は「のり」といいます。

 母娘の名前を知ったカルビー社員から入社の提案を受けた那須どうぶつ王国は「家族愛が強くて親しみやすいカピバラなら、スナック菓子を通して笑顔にする取り組みと親和性がある」として快諾しました。

 インターネット環境が「在宅勤務」を支えます。那須での在宅勤務では、SNS発信などの仕事をしていく予定です。

ササをもしゃもしゃ食べるカピバラ
ササをもしゃもしゃ食べるカピバラ

初任給、出張手当も支給

 5月31日には、東京・丸の内のカルビー本社へ初めての出社日を迎えました。

 東京駅に隣接するオフィスビルの23階にやってきたカピバラは、カルビーのオフィスの中央に設けられた会場に登場。松本会長兼CEOから初任給として、ジャガイモやサツマイモなどの野菜を受け取りました。また、那須からの「出張手当」として、野菜でつくったケーキが伊藤秀二社長から贈られました。

 カピバラはさっそく、のりしお40周年の販促パネルを選ぶ仕事に着手。なかなかボードに近づきませんでしたが、好物のササにひかれて、娘の「のり」が選んだボードに決まりました。

初任給を渡した松本晃会長兼CEO
初任給を渡した松本晃会長兼CEO

 ツイッターを投稿する仕事にもチャレンジしましたが、警戒しているせいかカピバラはパソコンのキーをたたくことはなく、残念ながらこの仕事は中止となりました。

 カピバラ社員の任期は1年間です。マーケティング本部ポテトチップス部長の土谷直子さんは「ポテトチップスは家族みんなで味わってほしい商品です。カピバラの親子を通じて、そのメッセージが伝わってほしい」と話していました。

 多様な働き方を広めるため、カルビーが決断した「カピバラ」採用。ネット上では「こんな会社に入社したい」など、さっそく共感の声が広がっています。

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