「ピース」ができなかった父 壊れてしまった心に気づけなかった後悔

武田 啓亮
朝日新聞デジタル企画報道部

黒井さん(左)が父・慶次郎さん(中央)の亡くなる5~6年前に撮った家族写真。笑顔の写真は1枚も残っていないという

無気力で定職に就かない。子や孫の問いかけにも答えず、ただ「そこにいるだけ」。そんな父親が大嫌いだったけれど、ふと「あの言動は、実は戦争による心の傷のせいではなかったか」と考えるようになり――。戦後78年、旧日本軍の兵士だった父の記憶や記録を、今も後世に残そうと活動している男性がいます。戦争は、1945年8月15日の「終戦の日」の後も、兵士やその家族の人生に、爪痕を残し続けました。(朝日新聞デジタル企画報道部・武田啓亮)

続きを読む