シンナーと酒依存で入院、窃盗で服役〝施設太郎〟と呼ばれた男の今

高橋健次郎

渡邊洋次郎さんが大切にしている言葉を手書きしてもらいました。お酒や薬物を断つため、自助グループの仲間同士で「今日一日」と声を掛け合うそうです。「10年間断酒した人も、昨日飲んだ人も、今日という日はまっさらのスタートです。やめるための『必殺技』はありません。今日一日を生きて、積み重ねていくしかありません」

かつてはシンナーと酒におぼれ、自らも痛めつけていました。渡邊洋次郎さん(46)は、依存症患者として精神科病院へ48回の入院を繰り返し、窃盗罪などで約3年間服役。〝施設太郎〟と言われていました。21日で、出所13年。薬物と酒を断っている渡邊さんは、後ろ向きな意味で使われがちな「損得勘定」が、自分を大切にするために意味を持ったと話します。

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