祖母が嫌いな日本、ニコ生で大好きに…留学して浴びせられた「反日」

“100%の否定・肯定”が生む分断、誹謗中傷も、謝罪も、極端すぎませんか?

小川 尭洋
朝日新聞記者

幼いころのチョウ・ジーイン(張之胤)さんと、祖母のホン・ジャンレン(熊珍齢)さん。両親はシンガポールの実家ではなく、中国にいることが多く、祖母が母親代わりだった

「おばあちゃん、ごめんね。おばあちゃんの好きじゃない国を選んでしまって」

シンガポール人留学生、チョウ・ジーイン(張之胤)さん(21歳)は2年前、後ろめたい思いを抱えながら、日本にやって来ました。シンガポールが日本の占領下だった時代に、「おばあちゃん」の父親は、旧日本軍に拘束され、のちに亡くなりました。終戦から75年経った今も、「おばあちゃん」の心は癒えることはありません。そうと知りつつも、ニコニコ生放送や日本アニメにハマっていったジーインさん。留学先の日本では多くの出会いに恵まれた一方で、ツイッターで「反日スパイ」と中傷されたこともありました。「反日」の意味は、その時に初めて知りました。ジーインさんの心は、「おばあちゃんが嫌いな日本」と、「自分が大好きな日本」の間で、揺れ続けています。(朝日新聞記者・小川尭洋)

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