部落・在日コリアン…差別がよみがえった 20年取材した記者の驚き

 20年あまり前に部落差別や在日コリアンを取材した記者は、関係者の多くが高齢化しており世代交代とともに差別の問題もいずれなくなるだろう、と考えていました。しかし、ヘイトスピーチや「全国部落調査」の地名リストの問題が再び話題になったことに驚きました。差別の問題が姿を変えてよみがえったのです。

北野隆一
朝日新聞編集委員

1996年4月に記者が描いた自分のイラストとコメント

 私が部落差別の問題をはじめて取材したのは1994年のことです。当時、もうすぐ21世紀という現代日本社会に、江戸時代の身分制度が由来の一つともいわれる昔からの差別が残っていることに衝撃を受けました。それから20年以上たった今、ネットの登場により、かえって問題が深刻になっている側面すらあります。「差別はいけない」という共通理解が成り立たなくなっているのではないか。そんな疑問から、あらためて現代の差別問題について向き合ってみました。

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