絵はいい、でも話が…そんな学生への処方箋 古典小説を題材に描け!

美大生の漫画を見ていると、しばしば「絵はいいのだが、お話がいまひとつ」と感じる学生に接することがある。

竹熊健太郎
電脳マヴォ編集長

相澤亮氏の「雪女」(左)と、萱島雄太氏の「鼻」

■多摩美術大学非常勤講師・電脳マヴォ編集長=竹熊健太郎 


 漫画は絵と物語で出来ている。美大生の漫画を見ていると、しばしば「絵はいいのだが、お話がいまひとつ」と感じる学生に接することがある。

 そういう学生に対しては、自分が好きな短編小説を漫画化してみることを勧めている。特にネット上の無料図書館「青空文庫」に収録されている、作者の死後50年が経過して著作権が切れた小説から探しなさい、とアドバイスをする。

 著作権が失効しているので、原作者の了解を得ることなく、自由に漫画にすることができるからだ。ストーリー作りの勘を養うのに、これ以上の訓練はない。

 また、小説を漫画にすることによって、文字で書かれた小説と、絵とコマを使って表現する漫画との違いがよく理解でき、「この文章をどうアレンジすれば漫画として表現できるか」を具体的に考えることによって、より漫画の描き方を深く理解することにもつながる。

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