MENU CLOSE

ネットの話題

「ブレーカー無料点検します」トラブル急増 屋根の点検商法を転用?

家庭の古い分電盤
家庭の古い分電盤 出典: 朝日新聞社

目次

「分電盤やブレーカーの無料点検をする」とうたった点検商法のトラブルが、全国で急増しています。無料を誘い文句に家に上がり込んだ業者が「すぐに交換しなければ漏電して火事になる」などと不安をあおり、その場で高額な契約をさせる手口です。国民生活センターによると、今年度は9月末時点で2291件と、既に昨年度の件数を上回っているといい、注意を呼びかけています。

【PR】幅広い「見えない」に対応 日常生活の不便を減らすために

2024年度から急増

ある日、東京都内で独り暮らしをする80代の女性宅に、業者が「分電盤の無料点検をする」と言って突然来訪しました。

業者は、「分電盤が古いのでこのままだと火災になる可能性がある。早く交換したほうがよい」と告げ、女性はその場で高額な16万円の分電盤交換工事を契約してしまったといいます。

住宅用の分電盤
住宅用の分電盤 出典: 朝日新聞社

このような分電盤(ブレーカー)の点検をめぐるトラブルが全国各地で急増しています。業者が分電盤やブレーカーを無料で点検すると言って家に上がり込み、「すぐ交換しなければ漏電して火事になる」などと不安をあおり、その場で設備交換のための高額な契約を持ち掛けるという手口です。

分電盤の点検商法に関するトラブルの相談は2024年の後半から全国的に増え始めたそうです。国民生活センターのまとめによると、2023年度は39件でしたが、2024年度は1289件と急増。今年度は9月末時点ですでに2291件に達しています。昨年度の同時期と比較すると、昨年度は9月末時点で277件だったそうです。

事件化されたケースもあります。
香川県警は今年5月、分電盤の交換工事を装い現金5万円をだましとったとして、東京の男2人を詐欺の疑いで逮捕し、発表しました。朝日新聞香川版の記事によると、香川県内の80代男性の自宅を訪ね、「(分電盤の)点検に来ました。前金を払ってもらって、工事完了後に残りの金額を支払ってほしい」などとうそをつき、現金をだましとった疑いというものでした。

東京での分電盤の点検商法に関する相談件数の推移
東京での分電盤の点検商法に関する相談件数の推移 出典:東京くらしWEB

特に東京都は多くの相談が寄せられている地域のひとつです。

東京都が今夏に発表した「令和6年度消費生活相談概要」によると、分電盤の点検商法に関する相談は前年度比2078.3%と激増しています。件数でいうと2023年度23件、2024年度478件です。

東京都消費生活総合センターによると、無料点検をきっかけにガス給湯器や屋根の工事を契約させる手口は以前からありましたが、昨年度から分電盤の点検に関する相談が急増したといいます。

3カ月ごとにみると、2024年1~3月の相談件数は3件でしたが、4~6月は60件、7~9月は123件と増加。今年4~6月は377件の相談がありました。前年同時期の6倍以上に増えています。

特徴的なのは、高齢者からの相談が多いことです。契約当事者が70歳以上の相談が、全体の7割を超えています。点検商法の業者が、在宅時間の長い高齢者をターゲットにしている可能性があります。

屋根の点検商法から転戦?

分電盤は昔から家庭にあるはずですが、なぜここにきて点検商法が増えているのでしょうか。東京都消費生活総合センターの高村淳子相談課長に取材しました。

「分電盤の点検商法のきっかけについてはわかりませんが、2021年度頃から屋根の点検商法の相談が増加していたものが2024年度に前年比半減しており、逆に分電盤の点検商法が激増しています」

分電盤の点検作業(写真と本文は関係ありません)
分電盤の点検作業(写真と本文は関係ありません) 出典: 朝日新聞社

「屋根の点検商法については2024年度に警視庁が啓発に注力し、逮捕者も出たことなどで減少したのではないかと思います。その点検商法のノウハウが、ガスや電気の点検に流れてきた可能性もあるかなと思っています」

国民生活センターの担当者も同様の見立てをしています。「誰しも漏電や火災の可能性があると言われたら不安になると思います。そうした不安につけ込める『商材』として分電盤が狙われているという側面もあるのではないでしょうか」と指摘します。

点検者の身分証の確認を

点検商法の被害に遭わないようにするためには何に気をつけたら良いのでしょうか。

「まず、訪問した点検者の身分証の確認を行い、どこから来たのかを明らかにすることが大切です。もし、自分が契約している電力会社からの依頼で来たということであれば、電力会社に確認を取ることもできます。そうではない場合は点検を断ってください」と呼びかけています。

分電盤の点検作業(写真と本文は関係ありません)
分電盤の点検作業(写真と本文は関係ありません) 出典: 朝日新聞社

そもそも、分電盤を含む家庭用の電気設備については、4年に1回の法定点検が電力会社に義務付けられており、法定点検の場合は事前に書面で通知されます。法定点検の連絡が電話でされることはないそうです。

万が一、怪しい業者を家に招き入れてしまい、点検後に契約を迫られても、その場ですぐに契約しないことが重要です。センターは、いったん保留して家族や信頼できる人に相談することを勧めています。訪問販売による契約の場合、8日以内ならばクーリング・オフができるそうです。

関連記事

PICKUP PR

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます