「SNSで詐欺アカウントかどうかを確認する方法」として名前が挙がった駅、鶴見線の海芝浦駅。「関東の駅百選」にも選ばれたJRの駅で、所在地は神奈川県横浜市鶴見区と一等地に思えますが、なぜ「海芝浦住み」はウソだと分かるのでしょうか。その理由を紹介します。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
<「インスタで詐欺アカウントかどうかを確認する方法」として、JR鶴見線の海芝浦駅の名前がX(旧Twitter)で話題になりました。国内の事情に疎いとみられる詐欺アカウントに、この駅周辺に住んでいるかどうかを確認し、話を合わせてきたらすぐにウソだと分かる、というものです。では、なぜ「海芝浦住み」はあり得ないのでしょうか。>
海芝浦駅は「関東の駅百選」にも選ばれた駅で、ホームの目の前に京浜運河の景色がパノラマで広がることが特徴。扇島と大黒ふ頭を結ぶ全長1020メートルの鶴見つばさ橋が完成すると、橋を一望できる場所として、さらに人気が高まりました。
所在地は神奈川県横浜市鶴見区と、それだけ聞くとアクセスの良い一等地のようにも思われますが、この駅は東芝エネルギーシステムズ社の事業所構内にある無人駅で、改札は工場の入口に直結しており、一般の乗客は出られません。そのため「周辺に住んでいる」ことは基本的にあり得ない、というわけです。
同社に話を聞きました。同駅は同社京浜事業所敷地内を走る鶴見線の支線・海芝浦支線の終着駅です。駅名は東芝の前身の「芝浦製作所」と、この駅が海に接していることに由来します。同社によると、約1700人の従業員のうち約900人がこの駅を利用して通勤しているということです。
同社は1997年、駅に隣接する社有地の一部に「海芝公園」を整備しました。ここは改札口を出ずに利用でき、一般にも開放されているため、目の前の風景を楽しむことができます。ただし、電車の本数は通勤・退勤の時間帯以外は非常に少なく、電車の時間には注意が必要です。