ネットの話題
お店で見かける「ハートランド」、実は国産ビールです 発売38年目
どんなビールなのかを取材しました
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どんなビールなのかを取材しました
飲食店で時々見かける「ハートランド」というビール。外国産かと思いきや、実はキリンが手がけている国産ビールです。大々的な広告を打たず、積極的にビール会社名を出すこともなく売り続けて38年目という珍しい商品です。どんなビールなのかを取材しました。
バブル景気の1986年に「素(そ・もと)」をコンセプトとして発売されたハートランド。
特徴的なエメラルドグリーンのボトルは、沈没船の中から発見された瓶がモチーフになっています。
ラベルを貼るのではなく、瓶にエンボス加工されたロゴは、イリノイ州穀倉地帯の風景画を元にデザイン。
大地にしっかりと根を伸ばす1本の大樹には、「ビールを愛するすべての人の『止まり木』でありたい」という思いが込められているそうです。
厳選された素材で、じっくりと時間をかけてうまみの素をつくる製法は発売時から変わっていないといいます。
飲食店で見かけることが多いハートランドですが、小売店でも小瓶や中瓶を販売。
「一番搾り」や「晴れ風」のような大々的な宣伝はなく、キリンという社名を前面に出すこともなく販売を続けて、38年目になりました。
その理由について、キリンビール株式会社マーケティング部のビール類カテゴリー戦略担当・柴田昂希さんはこう説明します。
「コアなファンを作り、それに共感した輪を広げていくブランディングを目指したためです」
六本木に構えていたビアホール「つた館」を拠点に、アートの企画展やライブを開催するなど、通常のビールとは異なる売り出し方だったそうです。
担当していたマーケターは、「一番搾り」「淡麗」「のどごし<生>」「氷結」などを手がけた前田仁さん。
後に、キリンホールディングス常務執行役員やキリンビバレッジ社長などを歴任した人です。
当時キリン社員だった漫画家のしりあがり寿さんも、マーケティング担当として関わったそうです。
「味をご評価いただいていることに加え、広告を打っておらず、量販店でもほとんど販売していないことからも希少性が高いため、ご支持をいただけていると考えています」と柴田さん。
24年連続で伸び続けていた販売数量は、コロナ禍によって減少しましたが、2021年を底にして回復を続けているとのこと。
洋食レストランやダイニングバー、こだわりの居酒屋などで取り扱われることが多いといいます。
今後も特別なプロモーションの予定はなく、ブランドサイトやお店を通じてユーザーに訴求していくそうです。
発売時のメンバーで、現在はキリンホールディングス株式会社ヘルスサイエンス事業部の太田恵理子さんは、こう話します。
「中身もパッケージも売り方も、社内でたくさんの反対を受けながらようやく生み出せたブランドです。当時の業界のやり方とは真逆のプロセスで開発を行いました。ある意味、時代を先取りしていた商品だと思います」
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