ネットの話題
文字どおり「秋刀魚」です! 食品サンプルならではの表現が話題に
製作の経緯を聞きました
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製作の経緯を聞きました
秋の味覚である「秋刀魚(サンマ)」の食品サンプルが先日、SNS上で注目を集めました。文字どおり刀になっている秋刀魚について、製作の経緯を聞きました。
先日、食品サンプルを手がける「いわさき」のX(旧ツイッター)アカウントがこんなつぶやきを投稿しました。
「秋なので『秋刀魚』お納めください」
添付された写真に写っているのは、刀掛けに飾られた秋刀魚の食品サンプル二つ。
一つは秋刀魚の体そっくりの鞘(さや)で、もう一つは首の周りに鍔(つば)がついて体が刀身になっています。
秋刀魚の漢字にちなんで、刀と秋刀魚を組み合わせて作られたもののようです。
この投稿に対して、「太刀魚とセットで床の間に飾りたい」「切れアジ良さそう」といったコメントが寄せられ、いいねは1万2千を超えています。
秋なので「秋刀魚」お納めください。#食品サンプル #さんま#刀剣 #刀 pic.twitter.com/zGh3ymHCp4
— 株式会社いわさき_食品サンプル (@IWASAKI_SAMPLE) October 18, 2023
「6月に開催した弊社の製作コンクールにおいて広島工場のベテラン製作員が作ったものになります」
そう話すのはいわさきの担当者です。
いわさきでは毎年、全製作者を対象に「食品サンプル製作コンクール」を開催。
日常業務の中で鍛え抜かれた技巧や新しいアイデアを披露する場で、普段は作ることができないモチーフにもチャレンジできます。
コンクールをきっかけに生まれた独自製法もあり、互いの技術を共有して研鑽していくことで、進化につなげているそうです。
これまでのコンクールでは、製作者自身がモチーフ決めやアイデア出しもしてきましたが、マンネリ化を防ぐために今年は社員から募集。
普段は製作に関わっていない営業員や事務員から寄せられたアイデアの中から、製作者が気に入ったものを作ったそうです。
「秋刀魚の刀もその中の一つで、若手の営業員からのアイデアが作品になりました。『秋刀魚』は漢字に『刀』と入っているところからの連想ですね」
製作を手がけたのはベテランの職人で、細やかな鱗模様まですべて手作業で描き込んでいます。
また、新鮮な秋刀魚を見分けるポイントである「口の先が黄色い」という点にもこだわって再現しているそうです。
「刃の大きさやバランスは、見た目以上に難しいところです。刃物部分は食品サンプルと同じ樹脂素材で作られているため、まったく斬れませんので安全です」
いわさきのXでは、季節料理などの食品サンプル画像を載せることが多く、その一環で今回の作品を投稿。
「秋刀魚という字面そのものを、リアルな鮮魚で表現できるのは食品サンプルならではの楽しさで、それを多くの方に楽しんでいただけたことは、大変うれしく思っています」
秋刀魚を除く今年のコンクール作品はSNS上でほとんど公開していないため、これからも注目してほしいとのこと。
また今回の秋刀魚の食品サンプルについては来年、各地で予定されている展示会で実物を見ることができる可能性があるそうです。
「食品サンプルは、お子様からご年配の方まで誰にとっても分かりやすい販促物であり、海外からのお客様にも言葉の壁を越えて伝わります。機械化されることなく、職人による技と感性で作られる食品サンプルを日本のカルチャーとして誇りに思っていただけたらうれしいです」
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