連載
#2 プラネタリウム100年
阪神大震災にも負けなかった 明石にある日本最古のプラネタリウム
1960年の開館時から星空を届けています
「明石」といえば何を思い出しますか? 明石焼、明石海峡大橋、東経135度…。実は兵庫県明石市にある天文科学館には、日本で稼働するプラネタリウムの中で最古のものがあるんです。館内で唯一、阪神大震災の被害をまぬがれたこのプラネタリウムは、1960年の開館以来、星空を投影し続けています。(朝日新聞デジタル企画報道部・小川詩織)
「月が西に傾いてきました。空には夏の大三角や秋の四辺形が見えています」――。明石市立天文科学館では、きょうも解説員による生解説が続いています。
日本では1937年、ドイツのカールツァイス社のプラネタリウムが、大阪市立電気科学館(現・大阪市立科学館)に初めて導入されました。その翌年には東京・有楽町の東日天文館(1945年の東京大空襲で焼失)にも設置されました。
その流れに続くように、明石市立天文科学館が1960年に開館し、プラネタリウムはその当時から稼働しています。
ここの投影機は、9000個の恒星と5つの惑星、天の川、彗星(すいせい)、人工衛星などを映すことができます。そして、現在日本で動いているものとしては最古のものです。
実はこのプラネタリウムは、1995年の阪神・淡路大震災のときに館内の天体望遠鏡が転倒して壊れたり、外壁にひびが入ったりする中、唯一被害をまぬがれました。
震災の復旧工事のため、3年ほどの休館を経て、天文科学館は1998年3月にリニューアルオープンしました。プラネタリウムは、今でも変わらず星空を映し続けています。
ここのプラネタリウムの座席は、真ん中にある投影機をぐるっと囲むように、円形に並んでいます。リクライニングができる椅子に腰掛け、ゆったりとドームを見上げることができます。
ただ、ゆったりと投影を見ているとついウトウトしてしまうこともありますよね?でも、大丈夫。
天文科学館では年に一度、11月23日の勤労感謝の日にお疲れ気味のみなさんを快眠へと導く「熟睡プラ寝たリウム」を開催しています。今年も開催されますので、ドームに映る星空の下でゆっくり眠りたい人はチェックしてみてください。
館長の井上毅さんは「以前青ケ島に行ったときに見上げた星空が、明石のプラネタリウムの星空とそっくりだった。天然のような星空を見ることができるので、ぜひ見にきてほしいです」と話しています。
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