ネットの話題
コピーライター辞めて漫画家へ 描き続けた「ゾワワ」な瞬間が一冊に
新刊に込めた思いを聞きました
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新刊に込めた思いを聞きました
新人コピーライターの奮闘を描いた「ゾワワの神様」(祥伝社)が8月8日に発売されました。著者は博報堂に勤めていたうえはらけいたさん(34)です。新刊に込めた思いを聞きました。
広告系の就活応援サイト「マスナビ」で連載中のゾワワの神様。
8日に発売された書籍には、序盤の計21話と特別編「広告界就職あるある」が収録されています。
うえはらさんにとっては、幼なじみ2人の10000日を綴った「コロナが明けたらしたいこと」(アスコム)に続く2冊目の著書。
今作は、自身の経験を元に描かれている点が特徴です。
大学卒業後、博報堂に入社してコピーライターになったうえはらさん。
やりがいを感じる仕事でしたが26歳の時に退職し、多摩美術大学グラフィックデザイン学科に入学します。
「速く消費されてしまう広告よりも、より長く人々の心に残る作品を作りたい」
そんな思いから、幼いころからの夢だった漫画家を目指すことにしたのです。
【本日発売✍️】
— SHODENSHA COMICS|祥伝社 (@SHODENSHACOMICS) August 8, 2023
『ゾワワの神様』うえはらけいた
想像を絶する表現に触れると、感動を通り越して身体中が〈ゾワワ〉と震える時がある。
広告代理店に入社した〈ぼく〉が出会いを重ねて学んだ、心を動かす極意とは――。
▫️試し読みhttps://t.co/ObXOJfx4t9
▫️ご購入はこちらhttps://t.co/wNSNXclDOE pic.twitter.com/RNZQR9xmEo
中学は美術部でしたが、高校に入ってからほとんど描かないまま3年生に。
担任教師に「美大に行きたい」と相談したのは3年生の秋ごろ。
「いまさら無理でしょ」と言われて、あっさり諦めたそうです。
コピーライター時代はデザイナーと一緒に仕事をすることが多く、美大や講義内容について知る機会が増えました。
「まったく特殊な世界だと思っていたのが、情報を得て『ちゃんと地続きの世界なんだ』と思えたことも大きかったです」
多摩美術大学を卒業した後、再び博報堂にデザイナーとして入社。
しかし、デザイナーと漫画家の両立はできないと思い、漫画家の道を選びました。
ゾワワの神様には、印象的な言葉がいくつも登場します。
「コピーを書く時に一番信じるべきものは受け手の想像力」
「自分の作ったものはうんこだと思った方がいいよ」
「良いモノ作りたいならちゃんと寝ろ」
実際に先輩から言われたことをそのまま書いたものもあれば、自分なりにかみ砕いて言葉にしたものもあります。
実体験をベースに創作も交えながら描いていますが、広告業界に限らない普遍的な内容を心がけています。
「的を絞りすぎると結局は誰にも刺さらない」との思いからです。
「自分が受けたお説教のお裾分けという気持ちで描いていますが、SNSとの相性はいいように思います」
本の帯は、NHKで放送された「TAROMAN」などで知られる藤井亮さんに依頼し、こんな文章が寄せられました。
「『アイデアをかたちにする仕事』をすることの、ありがたさ、おそろしさ、うれしさ。それに慣れてしまいそうになる自分に喝を入れてもらえました。今はでたらめなモノばかり作っている僕も、この本みたいな経験をたくさんしてきました」
ゾワワの神様について「エッセーというよりも物語として楽しんでもらえたら」とうえはらさん。
仕事にやりがいを見いだせない時にこそ読んでもらいたい。そんな一冊になったといいます。
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