IT・科学
〝山ありダニあり〟 ダニ注意のポスターに「厚労省さんナイス」の声
これからの季節、レジャーで野山に入ったり、畑で農作業をしたり、茂みの草刈りをしたりする機会も増えてきます。そんな中、注意しなければいけないのがマダニです。マダニがウイルスや細菌などを持っている場合、かまれた人が病気を発症することも。「山ありダニあり」――。その危険性を知ってもらおうと、厚生労働省はそんなキャッチコピーのポスターで啓発活動も行っています。(朝日新聞デジタル企画報道部・小川詩織)
キャンプやハイキングといったレジャーで野山に入ることも多くなるこれからの季節。畑での農作業や、伸びてきた雑草の草刈りをすることも多くなります。
そこで、注意したいのがマダニです。春から秋にかけてはマダニの活動が盛んな時期で、草むらに生息するマダニにかまれる危険性が高まります。
マダニ類の多くは、ヒトや動物に取りついて、皮膚に口器を突き刺し、数日から長いもので10日間以上吸血します。かまれたことに気がつかないことも多いといわれています。
中でも、ウイルスや細菌を持っているダニにかまれることによって起こる感染症には注意が必要です。
主な感染症として、近年、国内で年間200件以上発生している「日本紅斑熱」や、北海道で死亡例が続く「ダニ媒介脳炎」などがあります。
中でも、より注意が必要なのが、「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」です。2013年に国内で初めて見つかり、国立感染症研究所によると、これまでに805人が感染し、96人が死亡しています。
高齢の患者が多く、発熱や嘔吐(おうと)、下痢などの症状があります。血小板や白血球の減少も確認されるといいます。
厚生労働省では、ダニの危険性を知ってもらおうと、シャレの利いたポスターで啓発活動をしています。
ポスターには、男性の腕にダニがくっついている絵とともに、「山ありダニあり」と大きな文字で書かれ、出演者には「ダニ」の名前もあります。
「畑での農作業 茂みでの草刈り 山の中で山菜採りや狩猟をするとき ダニがあなたを狙っている。」という言葉も添えられています。
SNS上でも、「うまいこと言う」「厚労省、こんな気の利いたポスター作るようになったんだ」などと話題になっていました。
当時、ポスターの制作に関わった厚労省の担当者に話を聞きました。
このポスターは2018年から厚労省のホームページで公開されています。作製にあたって、「目を引くようなポスターを作るべき」という意見があったといいます。
そこで、マダニによる感染症の患者の中でも割合の多い高齢者をターゲットにしたものが提案されました。高齢者になじみがありそうな「昭和っぽさ」をイメージしたレトロな雰囲気の絵にしたといいます。
担当者は「少しでも注目してもらえるように工夫した。感染症の予防に一役買ってくれれば」と話しています。
厚労省のホームページでは、かまれないようにするポイントや、かまれたときの対処法も記しています。
長袖・長ズボンを着用する
帽子・手袋を着用し、首にはタオルを巻く
足を完全に覆う靴を履く
明るい色の服を着る
虫よけ剤を使用する
また、野山から戻ってきた後は、着ていた上着は脱いで室内に持ち込まないようにしましょう。かまれていても気づきづらいので、入浴してマダニがくっついていないかを確かめてください。
吸血中のマダニに気がついたら、無理に引き抜こうとするとマダニの一部が皮膚内に残って化膿(かのう)したり、マダニの体液が逆流したりすることがあるので、医療機関で処置することが大切といいます。
マダニにかまれた後の数週間ほどは体調の変化に注意し、発熱などの症状がある場合は医療機関を受診するよう、厚労省は呼びかけています。
1/5枚