話題
9歳クリエイターの〝ゴリラ愛〟 工作の幅を広げても夢は「飼育員」
7歳の頃から木彫り作品を作ってきました
7歳の頃から木彫り作品を作ってきた小学4年生のクリエイター「いっちゃん」こと、いつきさんが、表現の幅を広げています。新たに挑戦したのは〝ゴリラ〟のイラストです。ゴリラが大好きといういつきさんと母親に話を聞きました。
木彫りの作品がたびたびSNSで話題になっていた小学生クリエイターのいつきさん(9)。
2021年、小学2年生で作った「バターしみしみパン」や、翌年小学3年生で作った「ちょっとやきすぎちゃったアジ」(アジの開き)、「KI01 辛味チ木ン」(「サイゼリヤ」の辛味チキン)は、大人の木彫り作家も驚く完成度です。
「バターしみしみパン」を紹介するツイートには25万近い「いいね」がつき、「ちょっとやきすぎちゃったアジ」、「KI01 辛味チ木ン」にも多くの注目が集まりました。
2023年2月以降は、ほかの作家とコラボして3度の作品展を経験し、多くの人に実物を見てもらっています。
もともと工作全般が好きないつきさんが今、日常的に描いているのが大好きな〝ゴリラ〟のイラストです。
初めて動物園に行ったときゴリラの姿に心をつかまれ、「将来はゴリラの飼育員になりたい」と語るまでにハマっています。ドラミング(両腕で胸をたたくこと)のまねも得意です。
木彫り作品の場合は時間もかかり、集中力も必要なため1年にいくつも作れませんが、イラストは毎日でもスイスイ描けるといいます。
ゴリラのイラストを描き始めたのは、木彫りのアジを作った後、小学3年生の2学期から。ある日、ゴリラ集を作ろうとカレンダーの裏に描いたのがきっかけでした。
いつもゴリラの動画を見たり、グッズに囲まれていたりするため、何も見なくてもゴリラを描けるといういつきさん。しかし、描くのはただのゴリラではなく、擬人化されたゴリラです。
サッカーをするゴリラ、スーツを着たゴリラ、キャンバスに絵を描くゴリラ、アルバイトをするゴリラ、ギャルゴリラ……。
ポーズや服、アイテムを描くときは、細かい部分まで表現しようとインターネットで調べます。
以前、木彫り作品の展示会を開いたギャラリーとの縁で、2023年5月にはいつきさんが描いたゴリラがマグカップやキーホルダーになって発売されることになりました。
いつきさんは、「ツイッターでグッズを買ってくれた人の写真を見ました。自分が描いたものをほかの人が身に着けてくれるのがうれしいです」と話します。
今後は、旅行をするゴリラや海にいるゴリラ、大食いゴリラなどを描いていきたいそうです。
いつきさんの創作を身近で見てきた母親のたゆたゆさん(40)は、ゴリラの絵について「1頭1頭こだわりを持って描いている」と話します。
「目元は全部ほぼ同じなのに、なぜか表情がちゃんと違うんです。特徴を捉えて表現できるのがすごいなぁと思います」
いつきさんは、小さいころから家で毎日のように工作をしていて、バルーンアートに使う風船で帽子を作ったり、紙皿でお面やマスクを作ったりして遊んでいたそうです。
絵を書くことも好きで、保育園では劇で使う「ブレーメンの音楽隊」のポスターを描いたこともあったといいます。
木彫りやイラストのほか、紙を使ってドレスを作るなど表現の幅を広げている娘に、たゆたゆさんは「一つに絞らずたくさんのことにチャレンジしてほしいし、そこから自分の引き出しを増やしていって面白い作品を見せてほしいので、『どんどんやれ〜!』と思っています」と話します。
展示会を重ねるごとに娘の受け答えが上手になっていて、人見知りからの成長も感じるそうです。
今後については「マイペースに」「メリハリを大事に」好きなことを追求していってほしいと話すたゆたゆさん。
「(本名である漢字の)名前の『樹』に込めたように、たくさんの物事を栄養として吸収し、自分の糧としてグングン成長してくれたらいいなぁと思います。そして、人をワクワクさせたり、優しく包んだり、元気をあげられるような人になってほしいです」
そして、最後にこう笑いました。
「あとは、ゴリラの飼育員になる夢を叶えてほしいです」
1/48枚