エンタメ
マシンガンズ西堀、土木作業員の日常伝えるYouTubeの理由は…
「ゴミ清掃員芸人」の相方として
知っているようで意外と知らない、ゴミの出し方や分別方法。マシンガンズの滝沢秀一さんは、SNSでそれを伝える「ゴミ清掃員芸人」として注目されていますが、相方の西堀亮さんは、土木作業員の日常を伝えるYouTubeで注目を集めています。西堀さんに、YouTubeチャンネル誕生のきっかけやコンビ観について聞きました。(ライター・安倍季実子)
「でも、全然視聴数が伸びなくて……。見かねた事務所の先輩の有吉(弘行)さんが出てくれることになりました。2人で散歩する動画をアップしたら、一気に登録者数と視聴数が伸びて、収益化もできました」
有吉さん回の後は、後輩芸人で土木作業のバイト先も同じ和賀勇介さんと一緒に散歩をする動画をアップしていましたが、視聴数が元に戻ってしまいました。
「ちょうどそのころ、バイト先で和賀の金遣いの荒さがうわさになっていたんです。現場の目の前のレストランで、お昼に高級なローストビーフ丼を食べて、その後何にもなかったかのように仕事を再開したとか。後日、一緒に働いてたおじさんたちが『あいつ、おかしいよ!』って報告してくれました(笑)」
「実際に僕自身も、和賀が日給をその日に使い切ってしまう様子を笑いながら見てましたし、まわりの芸人に話すと必ずウケてたんで、試しに『土木作業の日給を使い切る男』としてYouTubeにアップしてみようって思ったんです」
バイト前にたばこやカツサンド、昼食に寿司や茶わん蒸しを買って、バイト終わりに銭湯に寄ってから居酒屋で酒を飲み、最後はラーメンで締める。そんな和賀さんを追ったドキュメンタリーです。
再生回数は有吉さん回を超えて40万回以上(2023年1月末現在)を記録。コメント欄には、シリーズ化を希望する声が溢れました。
「本当に何のためにバイトしてんのか分かんない動画なんですけど、これが予想以上にヒットしたんですよ(笑)。今では地下芸人の日常に密着したノンフィクションチャンネルになってしまいました(苦笑)」
『西堀ウォーカーチャンネル』の肝ともいえる土木作業バイト。土木工事は道路、河川、水道、土地区画整備などの様々な場所で行われますが、西堀さんたちは道路の舗装をしているそう。
「多いのは、老朽化した道。古くなったアスファルトを重機で引っぺがして、新しいアスファルトを均等に敷いて、プレートやランマーって呼ばれる機械で押し固めて、新しい道路にします。通りにくくなっていた道をきれいに生まれ変わらせるんで、どちらかというと感謝されることの方が多いと思います」
現在、週1回の土木作業バイトをしている西堀さん。日給は約1万円で月の収入は4万円です。
「人が足りないときにヘルプで入る感じです。芸人になる前から付き合いのある会社なんで、だいぶ融通を利かせてもらってますね」
バイトの日は、5時半に起床。7時ごろに現場の最寄り駅に着いて、8時半~9時くらいから仕事が始まります。
「終わるのはけっこう早くて、午後2~3時くらい。アスファルトが固まっちゃうと仕事できないんで、反対にダラダラできないんですよ」
世間では「きつい」「汚い」「危険」という「3K」のイメージがある建設業界。
しかし西堀さんは「確かに体力仕事ですし、夏は暑いし冬は寒いし、土やほこりで汚れます。でも、熱中症にならないように仲間たちで互いに声をかけあうとか、その現場での気遣いが土木のいいところなんです」といいます。
「土木って時間制限ありのチーム戦みたいなところがあって、それぞれが自分のやるべきことを考えながら働くから、ズルいことをする人がいないんです」と笑います。
「大変な作業は偉い人からやるっていう暗黙のルールがあるんで、人間関係から来る精神的なストレスが全くないんですよね。だから何年も続けられているんだと思います」
現在は個々の活動が増えて、コンビとしての活動は数えるほど。しかし、必ず月に1度はコンビでライブに出ると決めているのだそう。
「『爆笑レッドカーペット』や『エンタの神様』に出ていたこともあって、今もたまにネタ番組に呼ばれることがあるんです。いつ呼ばれてもいいように、勘を鈍らせないために続けています」
「昔は、お笑いだけでやっていくのが夢でした。それは難しいって分かってきたんで、今は、それぞれが別ジャンルの特技をたくさん持って、そこで面白いと思ってもらいたいって気持ちの方が強い気がします」
2021年に、錦鯉がM-1グランプリで王者に輝き、下積みが続く芸人たちに大きな夢を与えました。もし、マシンガンズにも、そんな日がやってきたら…?
「たぶん、状況的にはバイトは辞めざるを得なくなるでしょうね。でも、籍は置いとくと思います(笑)」
「僕らのコンビは、スタートダッシュがめちゃくちゃよかったんです。でも、だんだんウケなくなっていって、5年目くらいの時には解散話も出ました。最後のライブは、それまで溜めてた不満を言い合おうってことになって、悪口を言っていたら、なぜかウケて」
しかしその後、ネタ番組に呼ばれても、なかなか芽が出なかったといいます。
「少しずつ下火になっていったと思ったら、滝沢がゴミ清掃員になって、僕が土木の現場のYouTube配信で、また注目されるようになりました。この世界は、いつ何がどうなるのかわかんないですね」と苦笑します。
「コンビって、2人でひとつなんじゃなくて、2人の人間が集まってコンビをつくるんだと思うんです。それぞれ別の活動をしていても、お互いにそこで得た何かを持ち寄ってコンビを続けていくのも、アリなんじゃないでしょうか」
1/7枚