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カレーの日、1・22の理由 語呂合わせ?「前から…」 組合に突撃
「第3の国民食」、見据える先には
「1月22日はカレーの日だそうですよ」。同僚からそんな話を聞いて驚いた記者。カレーの語呂合わせを考えてみたけれど、どうも思い当たるものがありません。なぜ1月22日は「カレーの日」なのでしょう? 登録した全日本カレー工業協同組合に話を聞きました。
日本記念日協会に「カレーの日」を登録した全日本カレー工業共同組合(カレー組合)。
カレー粉やカレールー、レトルトカレーなど、カレー製品を製造販売しているメーカーで作られる業界団体です。「バーモントカレー」のハウス食品や「とろけるカレー」のエスビー食品のほか、業務用カレーを取り扱うメーカーなど、22社が加盟しています。
しかしカレー組合の設立は1961年とのこと。なぜ2016年になって「カレーの日」を制定したのか。東京・台東区にある組合で話を聞きました。
組合のある建物に着くと、まず目についたのは、組合の郵便受け。「全日本カレー工業共同組合」と書かれた下には、「1月22日はカレーの日」と書かれています。押しが強い。
出迎えてくれたのは専務理事の和田務さん。その和田さんの手元に目が釘付けになりました。まさかの名刺入れがカレーライスの食品サンプルをモチーフにしたものなのです。
「あ、これ。ちょっと重いんですけどね」と笑う和田さん。愛が強いです。
そんな和田さんに、カレーの日の制定理由について聞きました。
1月22日が「カレーの日」になったきっかけは、実は「学校給食」でした。
全国学校栄養士協議会が、1982年、1月22日に全国一斉に「学校給食にカレーを提供しよう」と呼びかけたことが由来です。
実はカレーの日登録以前から、業界内では、1月22日は「カレー給食の日」「カレーの日」などと、周知の事実だったといいます。
そこで組合員から、「せっかくそんな日があるのだから、記念日に登録して広く周知しよう」と発案があり、2016年に日本記念日協会に登録するに至りました。
登録して最初の年は、まずはカレーの日を知ってもらおうと、組合主催のキャンペーンを開催。22日にちなみ、22種類のカレー製品を応募者にプレゼントする抽選企画を開催しました。
「ちなみに、たまたまなんですけど、いまの加盟企業数も22です」(和田さん)
以降、この企画は毎年続けているそう。昨今では、カレー製品に加えJA(農業協同組合)から提供されたお米とトマトもセットにしてプレゼントしています。
「カレーとの相性もいい『雪若丸』という品種のお米と、サラダにしてもカレーに混ぜてもおいしいトマトをセットにしています」
「カレーの日の周知は進みつつある」と話す和田さん。カレーの日を告知するスーパーも見かけるようになったといいます。
一方、円安などで苦境に陥っている他業界の例に漏れず、カレー業界も苦しい現状があるといいます。
「カレールーの原材料であるスパイスなどはほとんどが海外製。円安やウクライナ情勢の影響を受けています」
また、業務用のカレー製品を手がける組合員にとっては、コロナ禍も痛手でした。「外食産業が厳しかった時期、業務用カレーの売り上げも落ち込みました」
ただ、すでに国民食として定着しているカレーです。和田さんも「基本、みんなカレー好きですからね」とやわらかい表情です。
明るい動きとしては、日本の家庭で食べられる、ふっくらとしたお米にトロッとしたルーをかける「日本式カレー」を、海外での販路を模索する動きも。
最近では、組合員からヨーロッパでのプロモーションに力を入れ始めたという報告もあるそうで、「まずは認知からという段階ですが、お寿司、ラーメンに続く『第3の国民食』として海外輸出を考えていってもいいかもしれない」と和田さん。
そんな和田さんに、最後に「カレー好きですか?」と聞いてみました。
「まあ、人並みに好きですよ。あ、でも今朝食べたのはカレーパンでしたね」
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