ネットの話題
「モルカー土偶」が出土した!?ファンが生み出した「作品愛の結晶」
教科書に載ってたかも…妄想する楽しさ
モルモットと車を掛け合わせたキャラクター「モルカー」が活躍する、パペットアニメ「PUI PUIモルカー」。この作品にほれこんだ人物が、ファンアートを手掛け、ツイッター上で話題をさらっています。テーマは「古代から続くニンゲンとモルカーのつながり」。こんな歴史があって欲しい……。思わずそう願ってしまうほど、いとおしい逸品を生み出した理由について、制作者に聞きました。(withnews編集部・神戸郁人)
「PUI PUI モルカー」は、昨年1月~3月にテレビ放送されました。実在の車をモチーフにしたものを含め、個性豊かなモルカーたちが大冒険を繰り広げる内容です。自動車社会を風刺するエピソードもあり、老若男女に支持されました。
作中では、人間とモルカーとの深い関係性も描かれます。仕事で疲れ果てたドライバーを、自宅の寝床まで送り届けるなど、モルカーの優しさあふれる振る舞いが、ファンの間で語りぐさとなってきました。
アニメ放映時から作品に魅せられてきたという、ぼんじりさん。「No.1の高級モルカー」を目指して努力するモルカー・チョコを推し、関連のフィギュアやカプセルトイを撮影しては、ツイッター上にアップしてきました。
「土偶」のアイデアを思いついたのは、今年7月上旬のことです。歴史に興味があり、博物館や美術館を訪れてきた経緯から、「モルカーがいる世界の展示物」を題材に据えました。
「ニンゲンとモルカーが、親密な関係を築くに至るには、きっと古くからの結びつきがあったのだろう。そのように想像し、古代をテーマにしてみたんです。縄文土器の写真集なども参照しましたが、結局自分のイメージで作ってしまいました」
構想に2週間かけ、土粘土を成形・着色すること30分。ぼんじりさんは「構想が決まれば作業は早かった」。制作上苦労した点も、特になかったといいます。いわく「モルカーに関わっているときは楽しさしかありません」とのことです。
「土偶」のツイートには「保存状態が良いですね」「歴史の資料集に載ってた」など、本物の出土品を指すかのようなコメントが連なっています。〝妄想力〟をフル稼働させ、作品世界と現実をつなげる。そんな楽しみ方が広がっているようです。
こうした姿勢は、モルカーファンたちの間で、以前から共有されてきました。象徴的なのが、「モルカー転生(モル転)」。自分自身の人格を投影した、オリジナルモルカーを考案し、イラストやぬいぐるみとして表現する営みです。
ぼんじりさんも、モル転後の姿を知人に描いてもらい、ツイッターアカウントのアイコンに設定しています。
「昨年末、仕事で前歯2本を折り、ひざの骨にひびが入るけがを負いました。そのとき、人間の身体(からだ)の限界を感じたんです。さらに、モルモットは一生歯が伸び続けると知り、モルカーとして生きる決意をするに至りました」
『モルカー型土偶』
— ぼんじり🐹モルの姿 (@molmol_BonJiLee) July 10, 2022
縄文時代中期
ぼんじり塚遺跡出土
モルカーを模った土偶。祭祀に使われていたと推測され、ニンゲンとモルカーの結びつきの強さを表している。 pic.twitter.com/wbhMta1mhS
モルカーたちの姿を、目の前に顕現させたい。むしろ、モルカーと一体化したい……。モル転と「土偶」は、ファンの究極的な欲望を形にするという点で、共通していると言えるかもしれません。
「土偶」は幅広い層に受け入れられ、ツイッター上に〝ファンアート〟の絵まで登場しています。「モルカー好きとしてうれしい限りです。見てくださった方、それぞれの解釈で遊んで頂ければと思います」。ぼんじりさんは、そう喜びました。
今年10月から、テレビアニメ第二期の放映が予定されている「PUI PUI モルカー」。愛好者たちの間で、次はどのような文化が誕生するのでしょうか。まだまだ目が離せなさそうです。
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