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飲むと「睡眠改善」本当? トクホとも違う…機能性表示食品の注意点

「睡眠の質向上」をうたう商品もあるが……。※画像はイメージ
「睡眠の質向上」をうたう商品もあるが……。※画像はイメージ 出典: Getty Images

目次

有名タレントがその“効果”についてテレビで発言し、売り切れ続出していることがさらなるニュースになる機能性表示食品。一般消費者もSNSでその効果をクチコミし、ネットでも大きな注目を集めています。ここで、そもそも機能性表示食品とは、どのようなものなのでしょうか。その実態や、注意するべきポイントを紹介します。(朝日新聞デジタル機動報道部・朽木誠一郎)
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国の個別の審査はなし

有名タレントが一部の機能性表示食品による「睡眠改善」などの効果についてテレビで発言し、話題になりました。それによる「売り切れ続出」がさらにニュースになり、注目されたことで、SNSには多数のクチコミが生み出されています。

では、この機能性表示食品とは、そもそもどのようなものなのでしょうか。消費者庁を取材しました。

最大の特徴は、“科学的根拠に基づいた機能性”が“事業者の責任において”表示されるということ。いわゆる「トクホ(特定保健用食品)」と異なり、国は安全性と機能性の審査を行っていません。​​

特定の保健の目的(例えば“睡眠の質向上”など)が期待できる、という食品の機能性を表示できますが、その安全性や機能性は、あくまでメーカー側が評価するもの。消費者はその情報を踏まえた上で、購入するかどうかを判断できる、というシステムです。

栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品などとして販売される一般食品にはできない機能性の表示ができますが、国が個別に許可しているわけではないことに注意が必要です。
 

“根拠”に疑問も、続く議論

トクホとは別に「機能性表示食品」が設けられているのは、消費者庁によれば「機能性をわかりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者のみなさんがそうした商品の正しい情報を得て選択できる」ようにするためです。

もともとは2013年6月、当時の安倍晋三首相が成長戦略の一つとして打ち出したもので、実際にその市場は数千億円規模に拡大。しかし、一部の商品では届出される“根拠”の論文が一つだけだったり、被験者数が1群10人以下と少なかったりするものもあり、本当に健康に効果があるのかについては議論も続いています。

「機能性表示食品」ならヘルシー? 5年で届け出3千件、3千億円規模に - 朝日新聞デジタル 2020年10月8日
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14650722.html

実際、国が審査するトクホでも、しない機能性表示食品でも、後から消費者庁による取り消しや改善指導などが起きています。

認知機能への期待うたう食品、115業者のネット広告に改善を指導 - 朝日新聞デジタル 2022年4月1日
https://digital.asahi.com/articles/ASQ3062KNQ30UTIL00Y.html

日本サプリメントに課徴金 トクホ不当表示、食品で初 - 朝日新聞デジタル 2017年5月17日
https://www.asahi.com/articles/ASK5K7RXKK5KUBQU017.html

また、医薬品ではないということも重要です。つまり、病気の治療、予防を目的としたものではありません。消費者庁も、病気がある場合、薬を服用している場合は、必ず医師・薬剤師に相談することを勧めています。

加えて、制度自体の定義により、機能性について病気の人、未成年者、妊産婦が対象から除外されていることも、知っておくべきことです。

ネットのクチコミの注意点

著名人が紹介したこと、ニュースになったことで、こうした機能性表示食品のクチコミがネットで目につくようになりました。消費者庁は機能性表示食品について、以下のように注意喚起をしています。

「たくさん摂取すれば、より多くの効果が期待できるというものではありません。過剰な摂取が健康に害を及ぼす場合もあります」「体調に異変を感じた際は、速やかに摂取を中止しましょう」

クチコミの中には商品パッケージの一日当たりの摂取目安量、摂取の方法、摂取する上での注意事項を遵守していないものもあり、内容にも気をつける必要があります。

ネットのクチコミは「効果があった」もの、それも劇的だったとするものが拡散されやすい傾向があります。効果がなかった人は積極的には書き込まず、効果があったと感じた人の書き込みがさらなる書き込みを生み出している可能性もあります。

同庁は「商品を買う前、摂取する前に、商品に表示されている注意事項や消費者庁のウェブサイトに公開された情報をしっかり確認してください」とします。

さらに注意したいのは、自分がその商品を勧める情報を発信する場合です。

アフィリエイトと呼ばれる、その人の紹介がきっかけで商品が購入された場合に売り上げの一部が還元されるシステムを使っている場合、行きすぎた説明が違法行為とみなされることがあります。

その商品が届出をしている表示の範囲を超えた紹介をしてしまうと、特に健康に関連する商品では、薬機法​​などの法律に抵触するおそれもあるからです。軽い「こづかい稼ぎ」のつもりでも、こうしたリスクをはらんでいます。

特定の商品が話題になったときほど、こうした基本事項を押さえ、行動をすることで、思わぬ落とし穴を避けられるというのは、ぜひ知っておいてほしいことです。

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