ネットの話題
もはや生きてる!ブロッコリーに刻んだ「鷹」究極の造形美に驚嘆の声
異国の技術駆使、羽の質感も完全再現
ブロッコリーを使って作り上げた造形作品が、ツイッター上で話題をさらっています。異国の技術を駆使してなされたという手仕事。究極の造形美を実現した作者に、話を聞きました。(withnews編集部・神戸郁人)
今月18日、一枚の画像がツイートされました。
写っているのは、ブロッコリー製の立体造形物です。茎を細かく加工することで、両翼を大きく広げ、今にも飛び立とうとする鷹の姿を削り出しています。
圧巻なのが、その完成度。翼の表面や、頭頂部から首元にかけて刻まれた微細な切り込みが醸すのは、まさに鷹の羽の質感そのものです。下方に向けて弧を描き、先端が鋭くとがったくちばしまで忠実に模倣し、臨場感をまとわせています。
この投稿は、25日時点で5万回近くリツイートされ、26万を超える「いいね」もつきました。
ブロッコリーで鷹
— gaku (@gaku_carving) November 18, 2021
娘に「すごーい!」言われ
喜んでます😀 pic.twitter.com/XZQZxTBmLW
画像を投稿したのは、作者のgakuさん(41・@gaku_carving)です。日本料理人として働きつつ、専用のナイフなどで、野菜や果物に様々な模様を彫り込む「タイカービング」をたしなんでいます。
タイカービングとは、東南アジア・タイ発祥の装飾美術。日本タイカービング協会によると、宮中の子女たちが、王様に料理を楽しんでもらうため編み出したとされています。今回の作品にも、この技術が使われました。
gakuさんは約10年前、バラを彫刻したスイカの画像を、ネット上で見て魅了されました。タイから指南書を取り寄せ、独学したそうです。仕上げた作品は1千点を超え、伝統的な植物柄などのほか、アニメ・ゲーム由来のものも作っています。
鷹をかたどるきっかけは今年11月、カービング仲間に誘われ、石鹸彫刻の展示会に出展したことです。花などをあしらった作品が多い中、あえて力強い印象のモチーフを選択。その後、野菜も使いたいとブロッコリー版を製作しました。
「ブロッコリーは変色が遅く、堅さもあり彫刻しやすい素材です。鷹を彫る場合、くちばしが小さくなります。少しのミスもしないよう作業時は特に気を付けました。眼球には、ぬいぐるみ向けの手芸用品『あみぐるみアイ』を用いています」
ちなみに、鷹の作品は撮影後、食材として活用したといいます。
gakuさんが創作の着想を得る対象は、日常の風景の中から見つけた模様や背景など、様々です。いずれにしても、作って楽しいと思えるかどうかが、採用の基準になります。
鷹のモチーフについても、「格好いい」と感じられたことが、選ぶ上で決め手になったそう。鑑賞する側にまで思いが伝わったのか、ツイートには「どこを削ったらこうなるのか」「もはや生きている」など、驚嘆の声が連なっています。
作品が注目を集めたことを受けて、gakuさんは次のように話しました。
「コメントはうれしいです。食べ物で遊んでいるのではなく、タイの伝統的な文化であるということを知ってもらいたいですね」
1/15枚