連載
#116 ○○の世論
忘年会はもういらない…微妙なメンタリティーが表れた世論調査の結果
「参加したい」23%、それでも行きたい人
コロナ禍の前までは、年末年始と言えば忘年会、クリスマス、新年会と会食の多い季節でした。帰省や旅行に出かける人の姿も、新しい年の到来を感じさせました。新型コロナウイルスの感染が減少傾向にある中、こうした「日常」は、元に戻りつつあるのでしょうか。11月6、7日に実施した全国世論調査(電話)で探ってみました。 (朝日新聞記者・藤方聡)
世論調査で、「あなたは、今度の年末年始に帰省や旅行を計画していますか」と尋ねると、「計画している」は18%にとどまり、「計画していない」が80%でした。
1年前の昨年11月調査で同じ質問をした時には、「計画している」は11%でしたので、少しだけ増えました。
帰省や旅行には依然として慎重な人が大半を占めています。
ただ、年代によって顕著な差が出ました。「計画している」は18~29歳は28%、30代が26%と若年層で高めでした。特に、30代以下の男性に限ると、31%が「計画している」と答えました。
一方、70歳以上で「計画している」は11%、60代も12%にとどまりました。
今回の調査では、「今度の年末年始の忘年会や新年会に参加したいと思いますか」という質問もしました。
全体では、「参加したい」23%、「そうは思わない」72%でしたが、男女で大きな差が出ました。
男性の31%が「参加したい」と答えたのに対し、女性は17%にとどまっています。
男性では30代以下と、50代の34%が「参加したい」。つまり3人に1人は宴席への出席に前向きな回答でした。男性は60代も29%、70歳以上でも26%と、女性の平均(17%)より高い結果になりました。
背景にはいったい何があるのでしょうか。世論調査では、「新型コロナウイルスの感染が再び拡大する」への心配の度合いを4択で聞いてきました。
今回の調査では「大いに」と「ある程度」を合わせた「心配している」は85%。「あまり」「ある程度」を合わせた「心配していない」15%でした。
1カ月前の10月4、5日の調査でも「心配している」は84%でしたので、再拡大への懸念の根強さがうかがえます。
ただ、「大いに心配している」に焦点を合わせると、心境の変化が見えてきます。
「大いに心配」は今年3月には50%もいましたが、10月には37%に、そして11月は28%に下がりました。
コロナが心配は心配だけど、ワクチンも接種したし、以前ほどでは……
このあたりの微妙なメンタリティーの変化が、帰省や旅行の計画、忘・新年会への参加の姿勢に影響しているのかもしれません。
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